ジオメトリック ネットワークは、現実世界によくあるネットワークとインフラストラクチャをモデル化する手段を提供します。配水、電線、ガス パイプライン、電話サービス、河川の水の流れは、すべてジオメトリック ネットワークを使用してモデル化し解析できるリソースの流れの例です。
ジオメトリック ネットワークで何ができるのか
ジオメトリック ネットワークをモデル化すると、さまざまなネットワーク解析を実行できるようになります。以下の表に、実行できる解析の例とその解析の恩恵を受け得る利用者の例を挙げます。
解析 | アプリケーション |
---|---|
2 つ以上のポイント間の最短パスを計算します。 | さまざまな種類の公益事業会社が、ネットワークの論理的一貫性を検査し、2 点間の接続性を検証する方法として、これを利用しています。 |
接続または切断されているネットワーク エレメントをすべて見つけます。 | 電気会社は、ネットワークのどの部分が切断されているかを確認し、その情報を利用して再接続方法を見つけることができます。 |
ネットワーク内のループまたは回路を見つけます。 | 電気的な短絡を見つけることができます。 |
ソースまたはシンクを設定したときにエッジの流れの方向を決定します。 | マネージャやエンジニアがエッジに沿った流れの方向を確認できます。ArcGIS では流れの方向を利用して、流れに特化したネットワーク解析を実行できます。 |
ネットワーク エレメントのあるポイントから上流または下流への流れをトレースします。 | 水道会社は、パイプが破裂したときにどのバルブを閉じるべきか決定できます。 |
あるポイントから別のポイントまでの最短上流パスを計算します。 | 環境監視所が河川の汚染源を特定できます。 |
多くのポイントから上流方向のネットワーク エレメントをすべて見つけ、どのエレメントがすべてに共通しているかを決定します。 | 電気会社は、停電が起きている顧客からの電話連絡を利用して、疑わしい変圧器や故障した電線を見つけることができます。 |
ArcGIS のジオメトリック ネットワーク
ジオメトリック ネットワークとは、接続されたエッジとジャンクションの集合で、接続性ルールを持ち、現実世界で一般的なネットワーク インフラストラクチャの振舞いを表現しモデル化するために使用されます。ジオメトリック ネットワークを定義するデータ ソースとしては、ジオデータベース フィーチャクラスが使用されます。ユーザは、ジオメトリック ネットワークでさまざまなフィーチャが果たす役割と、ジオメトリック ネットワーク内をリソースが流れるルールを定義します。
次の図では、ジオメトリック ネットワークは、給水本管を流れる水流と継ぎ手によって接続された水道サービスをモデル化しています。
ジオメトリック ネットワークは、ジオデータベースのフィーチャ データセット内に構築されます。フィーチャ データセットのフィーチャクラスは、ネットワーク ジャンクションとエッジのデータ ソースとして使用されます。ネットワーク接続性は、データ ソースとして使用するフィーチャクラスのフィーチャのジオメトリ上の一致に基づきます。各ジオメトリック ネットワークは論理ネットワークを持ちます。これは、ジオデータベース内のテーブルの集まりで、トレースとフロー操作で使用する個々のエレメントとして、ジオメトリック ネットワークのフィーチャに関する接続性リレーションシップなどの情報が格納されます。
ジオメトリック ネットワークは、エッジとジャンクションという 2 種類のフィーチャで構成されています。ジオメトリック ネットワークのエッジとジャンクションは、ジオデータベースの特殊な種類のフィーチャで、ネットワーク フィーチャと呼ばれます。これは、ジオメトリック ネットワークに特有の振舞いが追加されたポイント フィーチャおよびライン フィーチャと考えることができます。ジオデータベースの他のフィーチャと同様に、ドメインやデフォルト値という振舞いを持つことができます。ジオメトリック ネットワークの一部となることで、互いにトポロジカルに接続されているという状態や、接続方法のような振舞いが追加されています。エッジはジャンクションで他のエッジと接続される必要があり、ネットワークでは、あるエッジから別のエッジへの流れはジャンクション経由で転送されます。
下図は、ArcMap に表示されるジオメトリック ネットワークの例を示しています。