Schematics とは
スケマティックは、ネットワークを簡潔に表現したもので、その構造やどのように機能するかをわかりやすく示すことを目的としています。スケマティックを使用すると、縮尺に制約されることなく、定義したスペース内であらゆるタイプのネットワークを表現できます。定義したスペース内でフィーチャの配置を最適化することによって、さまざまな情報を表示することができます。スケマティック内では、縮尺の制約 (ケーブル長、距離など) はありません。
ArcGIS Schematics エクステンションを使用すると、ユーザーは複数の表現を効率的に作成し、ネットワークの接続性をすばやくチェックして、線形ネットワークの論理ビューを容易に取得できます。そのため、効率が向上し、意思決定プロセスが簡素化されます。ArcGIS Schematics エクステンションには、次のような用途があります。
- 複雑なネットワークからのスケマティックの自動生成
- ネットワークの接続性のチェック
- ネットワーク データの品質管理
- ネットワーク設計およびネットワーク解析の最適化
- 予測と計画 (モデリング、シミュレーション、比較分析の実行など)
- スケマティック ビューによる GIS (Geographic Information System: 地理情報システム) ソフトウェアとの動的な連携
- 商業分析および市場分析
- ソーシャル ネットワークのモデリング
- フローチャートの生成
- 相互依存性の管理
Schematics と公益事業
スケマティック リプレゼンテーションは、次のようなさまざまな業種や公益事業の企業で使用されます。
- 電気通信
- エネルギー
- 上下水道
- 運輸
- 電力およびガス
- 石油およびパイプライン
- 水文解析
- 地方行政
- 防衛/インテリジェンス
- ネットワーク データの図示
- 既存のネットワークの評価とネットワーク展開の計画
- ネットワークのモデリングと設計
- トポロジ関係の識別
- システムを最適化する方法の特定
電力業界の例
- Schematics では、非空間オブジェクトと組み合わせて電気事業の GIS フィーチャからダイアグラムを作成し、電気設備の内部接続を表示することができます (ビューアー ウィンドウ 1)。
- カスタマイズ可能な一連のスケマティック レイアウト アルゴリズムを使用して、スケマティック ダイアグラムのコンテンツをすばやくレイアウトし、論理表示と物理表示を取得できます。これにより、ネットワークがどのように編成されているのかをより深く理解し、意思決定サイクルを迅速化することができます (ビューアー ウィンドウ 2)。
- Schematics を使用すると、通常は GIS で表示できない変電所内部のダイアグラムを作成できます。
水道業界の例
Schematics を使用して、次のようなさまざまなタイプのスケマティック ダイアグラムを構築できます。
- 送水 (ビューアー ウィンドウ 1) または配水ダイアグラム
- ポンプ場 (ビューアー ウィンドウ 2)
- 市区町村ごと、都道府県ごとなどの水道ネットワーク ダイアグラム (ビューアー ウィンドウ 3)
- ネットワーク内のバルブを制御するエレメントをわかりやすくハイライトした給水設備の簡易ダイアグラム (ビューアー ウィンドウ 4)
Schematics とその他の用途
Schematics は、その他にも次のような分野で使用されます。
- ロジスティック
- 地方行政
- 情報
- 疫学
- 犯罪学
- 防衛
- 顧客情報の管理
- 予測と計画
- 業務の管理
- 故障や障害の管理
- 設計と分析
- フローの管理とトラッキング
フローチャートとスケジュールの例
たとえば、空港や航空会社では、次のような用途で Schematics を使用できます。
- 合成マップを提供するフローチャートを生成して、乗客の流れに従って航路を表示する (ビューアー ウィンドウ 1)。
- コックピット クルー (ビューアー ウィンドウ 2) や航空機 (ビューアー ウィンドウ 3) のフライト順とスケジュールのダイアグラムを管理する。
トラッキング、サプライ チェーン、および流通管理の例
たとえば、サプライ チェーンの表示や流通管理を目的として敷地間の家畜の移動を追跡するために、Schematics を使用できます。
- 牧場の GIS フィーチャから生成されたスケマティック ダイアグラムでは、牧場で飼育されている家畜の 1 週間分のすべての移動を表示することができます (ビューアー ウィンドウ 1)。
- 1 つのダイアグラムで、特定の家畜を出生地から市場まで追跡できます (ビューアー ウィンドウ 2)。
業務管理の例
地震、火災、ハリケーンなどの災害が地域で発生した場合、Schematics を使用して救助隊を管理することができます。
- Schematics では、災害のポリゴン GIS フィーチャを基にして、影響を受けたすべての都道府県とそれらの都道府県で支援活動を行える地域の緊急援助隊 (ビューアー ウィンドウ 1) や、支援活動を行える都道府県のすべての緊急援助隊 (ビューアー ウィンドウ 2) を示すダイアグラムを生成できます。
- また、各緊急援助隊で手配できる救助資機材を示すダイアグラムを作成することもできます (ビューアー ウィンドウ 3)。
ArcGIS Schematics エクステンション
ArcGIS Schematics エクステンションは、ArcGIS for Desktop および ArcGIS for Server で使用できます。Schematics のユーザーは、社会的および経済的なネットワークを含む、物理ネットワークおよび論理ネットワークを管理し、あらゆる種類のネットワークを表示できます。たとえば、電力、交通信号、配送ルート、コンピューターなどのネットワークを表示することができます。これにより、ネットワーク データや接続性の属性を持つデータから、ダイアグラムの生成、視覚化、および操作を自動的に行うことができます。
Schematics にはスタンダード スケマティック ダイアグラム ビルダー モードが備わっており、GIS ネットワーク データの現在の状態からスケマティック ダイアグラムを生成し、地理レイアウト、スケマティック レイアウト、ジオスケマティック レイアウトでネットワークを解析できます。Schematics は、ネットワーク データを図示して操作するという公益事業のニーズに対応しています。Schematics は一連の構成パラメーターによって高度な柔軟性を実現し、データ モデルの展開やデータベースの場所の変更によって制限されることがありません。
Schematics には一連の標準スケマティック レイアウト アルゴリズムが用意されており、ネットワーク データですぐに使用できます。また、ユーザー固有のレイアウト アルゴリズムをサポートするように Schematics をカスタマイズすることもできます。
Schematics には、スケマティック ダイアグラムを作成および更新するための、さまざまなジオプロセシング ツールも用意されています。これらのツールは、一度に 1 つずつ使うことも、モデルまたはスクリプトで他のジオプロセシング ツールと組み合わせて使用することもできます。
10.1 では、新しい Schematics SOE (サーバー オブジェクト エクステンション) を使用して、ArcGIS for Desktop で作成したスケマティック コンテンツを ArcGIS for Server に公開し、その Web 上のコンテンツを ArcGIS Web API を使用するクライアントの Web アプリケーションに公開することができます。
Schematics は高性能な開発プラットフォームでもあり、ネットワーク情報システム向けのさまざまなカスタム グラフィック アプリケーションをすばやく構築することができます。Schematics の高度な機能を使用することで、ネットワーク グラフおよびダイアグラムをすぐに作成できます。