オーバーレイ解析の実行にはさまざまな方法があります。各方法に対して一般的なオーバーレイ解析の手順があります。
- 問題の定義
- 問題のサブモデルへの分割
- 重要度の高いレイヤーの決定
- レイヤー内のデータの再分類または変換
- 入力レイヤーへの重み付け
- レイヤーの追加または結合
- 分析
使用できる主なオーバーレイの方法は、加重オーバーレイ、加重合計、およびファジー オーバーレイの 3 つです。各方法では、基本的な前提条件が異なっています。最適な方法は、適用するオーバーレイの課題によって決まります。以下に各方法の概要を示します。
加重オーバーレイ
加重オーバーレイ解析では、上記の一般的なオーバーレイ解析の手順を実行するために一連のツールで [加重オーバーレイ (Weighted Overlay)] を補うことができます。[加重オーバーレイ (Weighted Overlay)] ツールは、入力データを定義済みの評価尺度 (デフォルトでは 1 ~ 9) に変換して、入力ラスターの重み付けを実行し、それらを結合します。各入力条件についてより選好度が高い場所は、9 などの高い値に再分類します。[加重オーバーレイ (Weighted Overlay)] ツールで入力ラスターに割り当てる重みは、100 パーセントでなければなりません。レイヤーは適切な乗数によって乗算され、セルごとに結果の値が合計されます。加重オーバーレイでは、より選好度が高いファクターに出力ラスターでより高い値が割り当てられることを前提とし、ある位置を最適地として特定します。
加重合計
加重合計オーバーレイ解析では、上記と同じ一般的なオーバーレイ解析の手順に従います。他の Spatial Analyst ツールにより補われる [加重合計 (Weighted Sum)] ツールは、加法的なオーバーレイ解析を実装します。[加重合計 (Weighted Sum)] ツールを使用する前に、入力レイヤーの値を再分類する必要があります。[加重オーバーレイ (Weighted Overlay)] ツールの重み付けとは異なり、この場合の入力ラスターに割り当てられる重みは任意の値であり、特定の合計値を満たす必要はありません。[加重合計 (Weighted Sum)] ツールの出力値は、入力ラスターの各セル値に重みを掛けて、対応するセル同士を加算しただけのものです。加重オーバーレイとは異なり、値を定義済みの評価尺度に再変換しないため、モデルで入力した値の属性の詳細が維持されます。加重合計では、より選好度が高いファクターに最終的な出力ラスターで、より高い値が割り当てられることを前提とし最適地を特定します。
ファジー オーバーレイ
ファジー オーバーレイ解析は集合論に基づきます。集合論とは、特定の集合への事象の所属 (メンバーシップ) 関係を定量化する数学的手法です。ファジー オーバーレイでは、通常、1 つの集合が 1 つのクラスに対応します。
ファジー オーバーレイは、上記の一般的なオーバーレイ解析の手順におおよそ従いますが、再分類値の意味と、複数条件の結合結果が異なります。最初の 3 つの手順である、問題の定義、問題のサブモデルへの分割、重要度の高いレイヤーの決定の部分は同じです。上記の加重オーバーレイや加重合計と同様に、ファジー オーバーレイ解析では、データの値が共通の評価尺度に再分類または変換されますが、変換される値によって定義されるのは、特定の集合に所属する可能性です。たとえば、傾斜角の値が条件を満たす集合に所属する可能性 (0 ~ 1。1 は明らかに集合のメンバーであることを示す) を表す値変換されます。加重オーバーレイと加重合計では、値は選好度の尺度を基準とし、値が大きいほど選好度が高いことを示します。この評価尺度は、ファジー オーバーレイにおける所属 (メンバーシップ) の可能性とは異なっています。
変換された値は、集合へ所属する (メンバーシップ) の可能性を表すため、ファジー オーバーレイでは入力ラスターに対する重み付けは行いません。一般的なオーバーレイ解析の追加/結合手順においても、ファジー オーバーレイは加重オーバーレイおよび加重合計と異なっています。ファジー オーバーレイ解析の結合解析過程では、各種入力ラスターについて各位置が指定した集合に所属する可能性を定量化します。