回転楕円体が地球のおおよその形状を表す一方、測地基準系は、地球の中心に対するその回転楕円体の相対位置を定義します。測地基準系は、地表面上のある位置を測地する際の参照枠を提供します。参照枠は経緯線の原点と方向を定義しています。
測地基準系(より正確に言うと、地理座標系)を変更すると、必ずデータの座標値も変更されます。次に示すのは、1983 年北米測地基準(NAD 1983 または NAD83)に基づく、カリフォルニア州レッドランズにある基準点の度/分/秒(DMS)の座標です。
34 01 43.77884 -117 12 57.75961
次に示すのは、1927 年北米測地基準(NAD 1927 または NAD27)に基づく同じ基準点の座標です。
34 01 43.72995 -117 12 54.61539
経度値はおよそ 3 秒、緯度値は約 0.05 秒ずれています。
NAD 1983 とWorld Geodetic System of 1984(WGS 1984)はほとんどの場合同じです。次に示すのは、WGS 1984 に基づく同じ基準点の座標です。
34 01 43.778837 -117 12 57.75961
地心測地基準系
ここ 15 年の間に、測地学者は人工衛星データをもとに、地心と座標系とを関係付ける最も正確な回転楕円体を定義する新しい測量手法を考案しました。地心測地基準系では、地心が原点として用いられます。最も新しく開発され、広く使用されるようになった測地基準系は WGS 1984 であり、測地用のフレームワークとして世界中で利用されています。
ローカル測地基準系
ローカル測地基準系では、特定地域の地表面に厳密に合致するように回転楕円体の位置が調整されます。回転楕円体の表面上のポイントは、地球の表面上の特定の位置に合わせられます。このポイントは、測地基準系の原点と呼ばれます。原点の座標は固定され、その他すべてのポイントは原点から計算されます。
ローカル測地基準の座標系の原点は、地球の中心にはありません。ローカル測地基準の回転楕円体の中心は、地球の中心からオフセットされます。NAD 1927 や European Datum of 1950(ED 1950)はローカル測地基準系です。NAD 1927 が北米によく適合するように設計されているのに対し、ED 1950 はヨーロッパでの使用を目的として作成されています。ローカル測地基準は、地球表面上の特定地域によく合致するように回転楕円体を調整するため、設計対象の地域以外での使用には適していません。