テンポラル データは、ArcGIS Tracking Analyst extensionを使用して、ArcMap または ArcGlobe にレイヤーとして追加することができます。このデータには地理的位置の日時情報が含まれており、リアルタイムで記録された観測値や過去に記録された観測値を追跡できます。これらの観測値には、落雷のような不連続的なものと、トラックの運転経路や飛行経路のような連続的なものがあります。
テンポラル データをトラッキング レイヤーとしてマップに追加する方法は、いくつかあります。トラッキング レイヤーをマップに追加したら、Tracking Analyst の拡張機能を使用し、データ内の時間の値に基づいて、独特の方法でデータの解析と視覚化を行えます。たとえば、トラック ラインを描画してオブジェクトの移動経路を時系列に表示したり、タイム ウィンドウを使用してデータ再生を行って、ある時点におけるデータのサブセットのみを表示することができます。
Tracking Analyst で使用できるテンポラル シンボル オプションの詳細
データ ソース
Tracking Analyst は、各種ソースからの保存されているテンポラル データ (固定タイム データ) とリアルタイム データを使用することができます。
固定タイム ソース | リアルタイム ソース |
---|---|
シェープファイル | Esri Tracking Server |
ジオデータベース フィーチャクラス | ローカルに接続された GPS |
データ構造
Tracking Analyst では、リアルタイム ソースおよび固定タイム ソースから次のデータ構造を使用します。
- シンプル イベント
- コンプレックス静的イベント
- コンプレックス動的イベント
日時形式
Tracking Analyst で使用するデータはすべて、日付と時刻のいずれか、または両方の情報をタイム スタンプとして含んでいる必要があります。Tracking Analyst では、各種の日時形式をサポートしていますが、Windows ベースの日時形式に一部依存しています。[テンポラル データの追加ウィザード] を使用すると、さまざまなロケールを選択し、各ロケールに対応した Windows ベースの複数の日時形式の中から任意のものを選択できます。これにより、さまざまな地域の形式で文字列フィールドに含まれている日時情報を、Tracking Analyst で抽出することができます。日付タイプのフィールドに格納された日時形式は、Tracking Analyst によって自動的に検出されます。使用するデータに日付と時刻の両方の情報が含まれている場合、それらの情報を Tracking Analyst で使用するには、それらを単一のフィールドに含める必要があります。
Tracking Analyst では、紀元前 4713 年 1 月 1 日~西暦 9999 年 12 月 31 日の日付をサポートしています。Tracking Analyst のアーキテクチャではミリ秒がサポートされていますが、このレベルの精度を持つデータの追加にはいくつかの制限があります。ミリ秒はリアルタイム データでのみサポートされ、固定タイムのトラッキング データではサポートされていません。
トラック ID フィールド
シンプル テンポラル イベントとコンプレックス テンポラル イベントのどちらの作業でも、トラック ID フィールドの概念は Tracking Analyst においてきわめて重要です。トラック ID フィールドはすべてのトラッキング レイヤーに不可欠なわけではありませんが、トラッキング データに複数のトラック オブジェクトが含まれている場合、このフィールドによって Tracking Analyst の機能を向上させることができます。
トラック ID フィールドには、データ内の個別オブジェクトを一意に識別するデータ値が含まれていなければなりません。トラック ID を使用することで、同じオブジェクトに関する異なる観測値を表示と解析の目的でグループ化できます。たとえば、複数の配送トラックを追跡している場合、各トラックに一意のトラック ID を割り当てることによって、各トラックのルートを個別に監視できます。トラック ID を利用した特別なシンボル オプションがあります。たとえばトラック ラインで、1 日の異なる時点における各配送トラックの位置について、点と点を結ぶように線を引いて、配送ルートを再作成することができます。