通常、座標系情報はデータ ソースから取得されますが、古いデータには、この情報が含まれていないことがあります。次に説明する手法は、正しい座標系を識別するのに役立ちます。座標系が不明な場合、ArcMap にレイヤーを追加しようとすると、以下の警告メッセージが表示されます: 追加された以下のデータ ソースは、空間参照が定義されていません。このデータは ArcMap で描画されますが、投影することはできません。
座標系という用語は、10 進表記の度単位で表されるデータ、あるいはメートルまたはフィートで表される投影座標系を表す場合に使われます。投影または PRJ という古い用語もありますが、正確な表現ではありません。
データ ソースが座標系を定義している場合、ArcMap はデータを別の座標系にリアルタイムに投影変換できます。データが座標系を定義していない場合、ArcMap はリアルタイムの投影を実施できず、 単にデータを描画するだけです。データ フレームの座標系を変更すると、座標系を持つすべてのレイヤーが新しい座標系にリアルタイムに投影されます。データ フレームの座標系を設定し、座標系が定義されたデータに加え、座標系が不明なデータを追加すると、データ フレームの座標系は不明なデータの座標系になります。
- ArcMap を新しい空のマップで開始し、座標系が不明なデータを追加します。データに座標系が定義されていないことが前提となります。シェープファイルの場合は、PRJ ファイルを持っていないことが前提となります。
- [コンテンツ] ウィンドウでレイヤー名を右クリックし、[プロパティ] をクリックして [レイヤー プロパティ] ダイアログ ボックスを開き、[ソース] タブを選択して、データの範囲を調べます。
- 経度 -180 から +180、緯度 -90 から +90 など、[範囲] ボックスに表示される座標系が 10 進表記の度単位である場合は、データに使用されている地理座標系 (測地基準系) (北米測地基準 (NAD) 1927 または NAD 1983 など) を特定する必要があります。
- データがアメリカ国内のもので、整数部が 6 ~ 8 桁の座標系の範囲を示す場合、データはおそらく State Plane またはユニバーサル横メルカトル (UTM) 座標系のゾーンで表されます。これらは投影座標系です。
- 座標系が不明なデータが米国内に位置する場合は、ArcMap に比較データを追加します。比較データは ArcGIS インストール フォルダー内の Reference Systems フォルダーにあります。デフォルトのインストール ディレクトリは、C:\Program Files\ArcGIS\Desktop10 です。
Reference Systems フォルダーへ移動し、usstpln83.shp ファイルを追加します。
- [コンテンツ] ウィンドウで [レイヤー] > [プロパティ] を右クリックし、[座標系] タブをクリックします。
- [座標系の選択] セクションで、[定義済み] > [投影座標系] > [米国州平面] の順に展開します。
- フォルダーを 1 つずつ展開していき、State Plane 投影情報ファイルをクリックし、[適用] をクリックします。
地理座標系に関する警告ボックスに、レイヤーの地理座標系がデータ フレームの地理座標系と同じでないことを示すメッセージが表示されることがあります。これにより、数メートルから数百メートルのずれが発生する可能性があります。地理 (測地基準) 変換により、ずれを減らすことができます。このダイアログ ボックスから変換を設定するか、以下の方法で変換情報を調べることができます。
- [座標系] タブの [変換] ボタンをクリックします。
- [変換方法] ドロップダウン メニューで、適切な変換方式が適用されていることを確認します。たとえば、米国本土 48 州の NAD 1927 と NAD 1983 の変換には NAD_1927_To_NAD_1983_NADCON を使用し、HARN (High Accuracy Reference Network) への変換には適切な州または地域のファイルを使用します。
usstpln83.shp ファイルがその場所に合致し、座標系が不明なデータが適切な州の正しい場所に表示されるまで、さまざまな State Plane ゾーンを繰り返し割り当てていきます。
- [データ フレーム プロパティ] ダイアログ ボックスの [OK] ボタンをクリックします。
- データが描画された州でレイヤーを拡大し、[個別属性] ツールを使用して、正しい場所を確認します。
- フォルダーを 1 つずつ展開していき、State Plane 投影情報ファイルをクリックし、[適用] をクリックします。
- UTM フォルダーを展開します。
- State Plane 投影の識別でも説明したように、フォルダーを 1 つずつ展開していき、UTM 投影情報ファイルをクリックし、[適用] をクリックします。
最初に、データが属する UTM ゾーンを特定しておくと効率的です。UTM ゾーンのマップについては、UTM zone map をキーワードに Web を検索してください。1 つのリンクは、Wikipedia 上の UTM グリッド ゾーン マップです。
米国本土の NAD 1983 測地基準系での UTM メートルの座標と、WGS 1984 測地基準系での同じポイントの座標間の距離は、50 センチメートル未満です。
NAD 1983 測地基準系に基づく UTM 座標系のデータは、NAD 1972 測地基準系に基づく同じデータのおよそ 200 メートル北に位置します。これら 2 つの測地基準系間では、東西にわずかにずれが生じる可能性がありますが、北に 200 メートルほどの誤差があることがわかります。
200 メートルの誤差は、比較的軽度です。したがって、UTM 投影におけるデータの正しい測地基準系が NAD 1927 か NAD 1983 かを判断するには、正確な比較データを使用することが不可欠です。
- 正しい座標系が見つかったら、[投影法の定義] ツールを使用してデータの座標系を定義できるように、その座標系の格納先と名前を書き留めておきます。
座標系を識別して定義すると、正しい測地基準変換が指定されている限り、データは ArcMap セッションに追加された他のデータとを調整して表示します。
上記の手順で ArcMap のデータが重ならない場合、そのデータはカスタム座標系で表されています。同じ方法で引き続きテストを行い、他の PRJ ファイルを調べることができます。しかし、正しい座標系を定義するためには、データをさらに調査する必要があります。