ArcGIS アイテムまたはスタンドアロン メタデータ XML ファイルからメタデータをインポートする際には、各状況に適したジオプロセシング ツールを使い分けることができます。
メタデータのうち、テキスト形式または HTML 形式のもの、あるいは Microsoft Word ドキュメントまたはデータベースで格納されたものは、インポートできません。情報は XML 形式への変換後に、いずれかの ArcGIS メタデータ ジオプロセシング ツールを使って処理できるようになります。
メタデータのインポート (Import Metadata)
[メタデータのインポート (Import Metadata)] は、次のような場合に使用できます。
- 別個のファイルでメタデータが提供されているアイテム用のメタデータをインポートし、インポートされたメタデータを ArcGIS で格納し使えるようにする場合。
- メタデータ テンプレートをインポートする場合。メタデータ テンプレートは、マップ ドキュメントや Word ドキュメントテンプレートと同様、複数の ArcGIS アイテムに共通の情報が格納されています。たとえば、テンプレートを作成しておき、プロジェクト関連のリソースをドキュメント化する際に使うのもよいでしょう。
- メタデータを別の ArcGIS アイテムからコピーする場合。この方法を使えば、テンプレートの作成にかえって手間がかかり割に合わない場合に、メタデータの作成が簡略化されます。これは、[名前を付けて保存] を使用して、既存のマップ ドキュメントまたは Word ドキュメントを基に別のマップ ドキュメントまたは Word ドキュメントを作成するのに似ています。
インポート対象のメタデータが ArcGIS メタデータ以外のときは、このツールで任意のメタデータ形式から ArcGIS メタデータ形式への変換機能を利用して、変換後の情報をインポートできます。情報を変換する前に、インポートに適していない情報を削除する処理がソース メタデータに施されます。
このツールでメタデータをインポートした場合、ターゲット ArcGIS アイテムの既存のサムネイル、ジオプロセシングの履歴、固有 ID などの重要な情報はインポート前の状態に維持されています。ターゲット アイテムのメタデータのその他の情報は、インポートされた情報で置換されます。
インポート後は、ターゲット アイテムのメタデータに対して更新が実行され、プロパティが最新の状態になります。
メタデータ インポーター(Metadata Importer)
[メタデータ インポーター (Metadata Importer)] は、ArcGIS メタデータ専用のインポート ツールです。ソース メタデータを一切変更せずにターゲット ArcGIS アイテムにコピーします。
ArcGIS アイテム間で情報をコピーする場合、または ArcGIS に外部メタデータを取り込む場合は、常に [メタデータのインポート (Metadata Importer)] ツールを使用してください。
[メタデータ インポーター (Metadata Importer)] ツールを使用して、既存のメタデータを更新します。
たとえば、多数の ArcGIS アイテムの既存のメタデータのアドレスと電話番号を更新する必要がある場合、最も効率的な方法は [XSLT 変換 (XSLT Transformation)] ツールを扱えるモデルまたは Python スクリプトを使用することです。更新を実行する XSLT スタイルシートは、(変更されるように設計された既定の変更以外の) すべての既存のメタデータをコピーしなければなりません。コピーしておくと、更新対象のアドレス指定および電話番号は、スタイルシートに検出されたときに新しい情報で置換されます。下の図に示すように、XSLT 変換ツールは更新後のメタデータをまず XML ファイルにエクスポートし、その後 [メタデータ インポーター (Metadata Importer)] ツールを使ってコピーして ArcGIS アイテムに送信する必要があります。
ArcGIS アイテムの既存のメタデータを更新するときに、ソース アイテム内のジオプロセシングの履歴、固有 ID、サムネイルなどあらゆる情報をインポート前の状態に維持したい場合、[メタデータ インポーター] ツールを使用するのが最適です。
XML 形式以外の FGDC メタデータのインポート
GIS リソース説明を含んだメタデータがテキスト形式または HTML 形式、あるいは Microsoft Word ドキュメントに格納されている場合、情報を ArcGIS で使えるようにするには、適切な形式に変換する作業が別途必要になります。
メタデータの一般的な利用形態は、XML、テキスト、SGML、HTML 形式です。[メタデータのインポート (Import Metadata)] および [メタデータ インポーター (Metadata Importer)] ツールは、XML 形式のメタデータのみを処理対象としています。ArcGIS で使い始めた場所以外のどこかから受信したアイテムに FGDC メタデータが付属していた場合は、対象のメタデータが XML 形式でない可能性があります。ArcGIS に情報をインポートする方法は、その情報の形式に応じて決まります。
テキスト形式または SGML 形式の FGDC メタデータを XML 形式に変換するには、mp というメタデータ構文解析プログラム ユーティリティを使用します。. mp ユーティリティは、USGS によって作成および管理されています。mp は Esri のユーティリティではありませんが、ArcGIS Desktop には、このユーティリティのバージョンが付属しています。mp を直接に使用するには、オペレーティング システムのコマンド ラインから実行してください。このツールの詳細情報は、USGS メタデータ ツールの Web サイトから入手可能です。
この変換を Python で実行するには、os.system() コマンドを使用します。ツールを正常に実行するには、現在のディレクトリが mp.exe の格納ディレクトリに設定されている必要があります。ArcGIS に付属しているこのバージョンのユーティリティの格納ディレクトリは <ArcGIS インストール ディレクトリ>\bin です。
mp を使用した FGDC テキスト ファイル → XML 変換
次の mp 要件に従って書式設定された構造化テキスト ファイルを、FGDC CSDGM の XML 形式に変換します。変換後の XML ファイルを ArcGIS にインポートするには、[メタデータのインポート (Import Metadata)] を使用します。
import os
#set local variables
dir = arcpy.GetInstallInfo("desktop")["InstallDir"] + "bin"
fgdcTXT = "c:/data/fgdcInText.txt"
fgdcXML = "c:/data/fgdcOutXML.xml"
runCmd = "mp.exe " + fgdcTXT + " -x " + fgdcXML
os.chdir(dir)
os.system(runCmd)
[USGS MP メタデータ トランスレーター (USGS MP Metadata Translator)] ツールは mp を使用して変換を実行し、XML 形式の情報だけを受け入れますが、[ソース メタデータ] パラメーターには ArcGIS アイテムまたはスタンドアロン メタデータ XML ファイルのどちらかを指定する必要があります。たとえば、テキスト ファイルを指定した場合、そのテキスト ファイルのメタデータはアイテムから抽出され、mp ユーティリティへの入力として使用されます。ArcGIS からテキスト ファイルまたは SGML ファイルのどちらかを入力として mp を実行するには、上のコード例に示すように Python からツールを実行するのが唯一の方法です。
mp ユーティリティは、HTML 形式のメタデータを入力として受け入れません。Web ブラウザーではメタデータが HTML になっているほうが情報を読みやすくなります。ただし、ソフトウェア プログラムではテキストを HTML コードと区別しづらく、どのテキストがメタデータ エレメントを定義しているか、またどのテキストが対象のメタデータ エレメントの値であるかを判別するのは極めて困難です。
ただし、HTML メタデータが mp で作成されている場合、USGS が提供する (ArcGIS Desktop では提供されていない) 別のユーティリティを使用して、情報を適切な形式のテキストに変換できる場合があります。先に述べたように、テキストは適切な形式に設定されている限り、XML 形式に変換できます。
代わりに、メタデータの供給元あるいは直接インポートした組織に問い合わせて mp で処理可能な別の形式のメタデータを要求することもできます。