インシデントのポイント データを規則的な形状のグリッドに集約する方法は、マッピングのためにジオグラフィを正規化するためや、恣意的に作成された不規則な形状のポリゴン (政治的プロセスにより作成された国境やブロック グループなど) を使用すると発生する問題を緩和するためなど、多くの理由によって使用されています。規則的な形状のグリッドを構成できるのは、正三角形、正方形、正六角形だけです。テッセレーション (同一形状の辺同士を合わせて、隙間や重複部分を発生させずにエリアをカバーすること) により、等間隔のグリッドを作成できるのは、これら 3 つのポリゴンだけだからです。
GIS 解析と主題マッピングで主に使用される形状タイプは四角形 (フィッシュネット) のグリッドですが、質問の性質によっては六角形の方が解析に適している場合があります。
六角形グリッドへの集約を検討する理由として、次の点が挙げられます。
- 六角形では、グリッド形状のエッジ効果によるサンプリング バイアスが低下します。これは、六角形という形状は、周長と面積の比率が低いことと関連しています。最も比率が低いのは円ですが、円は連続グリッドを形成するテッセレーションができません。六角形は、等間隔のグリッドを形成するテッセレーションが可能な、最も円に近いポリゴンです。
- この円に近い性質により、六角形グリッドは、データのパターン内の曲線を四角形グリッドより自然に表現できます。
- 等しい面積のポリゴンを比較した場合、円に近いポリゴンほど、境界に近いポイント (特に頂点に近いポイント) が重心に近くなります。つまり、六角形の内部のポイントは、同じ面積の四角形や三角形の内部のポイントより、六角形の重心に近くなります (これは、四角形と三角形が六角形より鋭角であるためです)。
- 六角形は、解析に接続性や移動パスの要素がある場合にお勧めします。
- フィッシュネット グリッドは、四角形の直線的な性質により、直線の途切れない平行線に目を向け、データに内在するパターンの認識を阻害する可能性があります。六角形を使用すると、ラインが分割され、データ内にあるパターンの曲線をより明確かつ容易に把握できるようになる傾向があります。この人工的な直線的パターンの解消によって、フィッシュネット グリッドで知覚される方向バイアスも低下します。
- 広いエリアで作業している場合、六角形グリッドは、フィッシュネット グリッドの形状より、地球の曲率による歪みが小さくなります。
- 近傍の検索は、六角形グリッドの方が簡単です。近傍との接触部のエッジや長さは等しいため、各近傍の重心は等距離になります。一方、フィッシュネット グリッドでは、Queen's Case (上/下/右/左) の近傍の重心までの距離は N 単位ですが、対角線の重心 (Rook) の近傍は、これより長くなります (√2 と N 単位を乗算した値)。
- 重心間の距離は六角形の 6 方向すべてで同じであるため、距離バンドを使用して近傍を検索する場合や、[最適化ホット スポット分析 (Optimized Hot Spot Analysis)]、[最適化外れ値分析 (Optimized Outlier Analysis)]、または [ポイントの集約による時空間キューブの作成 (Create Space Time Cube By Aggregating Points)] ツールを使用している場合、フィッシュネット グリッドよりも六角形グリッドを使用した方が、計算内に各フィーチャの近傍が多く含まれるようになります。
参考資料:
Birch, Colin P.D.、Oom, Sander P.、Beecham, Jonathan A、『Rectangular and hexagonal grids used for observation, experiment, and simulation in ecology』 Ecological Modelling, Vol. 206, No. 3–4. (August 2007), pp. 347–359.