ArcGIS 10.3.1 for Desktop には、機能強化と安定性の向上が含まれています。
次のセクションでは、各機能領域の変更内容について概要を説明します。ほとんどのセクションには、ソフトウェアの該当する領域について詳しく説明しているトピックへのリンクがあります。
ジオプロセシング
以下は、ツールボックス別に整理された、ArcGIS 10.3.1 の新ツールおよび機能改善されたツールです。
3D Analyst
LAS データセット ツールセット
[高さによる LAS の分類 (Classify LAS By Height)]、[エリアによる LAS ポイントの統計 (LAS Point Statistics By Area)]、[近接性による LAS ポイントの特定 (Locate LAS Points By Proximity)] という 3 つの新しいジオプロセシング ツールを利用できます。
可視性ツールセット
ArcGIS 10.3 の Spatial Analyst エクステンションで導入された [可視領域 (詳細設定) (Viewshed 2)] ジオプロセシング ツールが、[3D Analyst] ツールボックスの [可視性] ツールセットに追加されました。
このツールは、一連の観測フィーチャから見通せるラスター サーフェスの位置を決定します。このツールでは、次の領域において、既存のサーフェス可視性ツール ([観測ポイント (Observer Points)]、[高度な可視領域 (Visibility)]、およびオリジナルの [可視領域 (Viewshed)]) に対する機能強化が行われています。
- このツールでは、測地線メソッドを使用して計算が行われます。
- CUDA コンピューティング機能 2.0 または Opencl 1.2 と最新のドライバーを備え、適切な NVIDIA グラフィックス カードを搭載したコンピューターであれば、GPU (Graphics Processing Unit) が使用可能なシステム上でこのツールを使用することで、可視領域解析の飛躍的な向上が可能になります。
- このツールは、オプションで、入力サーフェスの垂直方向の不確実性に適応し、最大 32 の観測点 (ポイント、マルチポイント、ポリライン) に対応する、観測点から見えるリージョン リレーションシップ テーブルを作成します。このテーブルは、入力観測点フィーチャクラスに関連付け直すことができます。
変換ツールボックス
[CAD へエクスポート (Export to CAD)] の output_type パラメーターに、DWG_R2013 および DXF_R2013 という 2 つの選択肢が追加されました。
データ管理ツールボックス
[増加 ID フィールドの追加 (Add Incrementing ID Field)] を使用して、データベースで管理される一意の識別子を ALTIBASE の既存のテーブルに追加できます。この ID フィールドは、テーブルをフィーチャ サービスで公開する場合に必要になります。
[空間インデックスの追加 (Add Spatial Index)] ツールを、SQL Server データベースまたは SQL Server 内のジオデータベースに格納された Geometry または Geography フィーチャクラスに対して実行する場合、空間グリッドを定義するための入力は必要ありません。SQL Server データベースの互換性レベルを 100 (SQL Server 2008 または 2008R2) に設定した場合、グリッド レベルは必ず中に設定されます。SQL Server データベースの互換性レベルが 110 以上 (SQL Server 2012 以降のリリース) の場合は、自動グリッドが使用されます。どちらの場合も、インデックスの空間範囲は、データの現在の範囲に設定されます。
既存のツールに対するその他の変更内容は、次のとおりです。
- [ラスター プロパティの取得 (Get Raster Properties)] - property_type パラメーターの ACQUSITIONDATE オプションが ACQUISITIONDATE (正しいスペル) に置き換えられました。
- [パンシャープン ラスター データセットの作成 (Create Pansharpened Raster Dataset)] - sensor パラメーターに新しい WorldView-3 オプションが追加されました。
- [Image Server レイヤーの作成 (Make Image Server Layer)] および [モザイク レイヤーの作成 (Make Mosaic Layer)] - 新しい processing_template パラメーターが追加されました。
- [モザイク レイヤーの作成 (Make Mosaic Layer)] - mosaic_operator パラメーターに新しい SUM オプションが追加されました。
- [モザイク データセットの作成 (Create Mosaic Dataset)] - product_definition パラメーターに新しい WORLDVIEW-3_8BANDS オプションが追加されました。
- [モザイク データセット スキーマの変更 (Alter Mosaic Dataset Schema)] - raster_type_names に新しい WorldView-3 オプションが追加されました。
- [タイル キャッシュのタイル スキーマの生成 (Generate Tile Cache Tiling Scheme)] - 新しい lerc_error パラメーターが追加されました。
マルチディメンション ツールボックス
[ディメンションで選択 (Select by Dimension)] ツールは、多次元モザイク データセットおよび多次元イメージ サービスに基づくレイヤーをサポートするように拡張されました。
Spatial Analyst ツールボックス
サーフェス ツールセット
ArcGIS 10.3.1 の [可視領域 (詳細設定) (Viewshed 2)] ツールに対して、いくつかの更新が行われました。
- [出力 AGL (地上レベル) ラスター] (AGL) オプションが完全に有効化されました。AGL の出力は、見えないセルが 1 つ以上の観測点から見えるようにするためにセルに追加する必要がある最小の高さで各セルの値が構成されるラスターとなります。
- [解析方法] パラメーターが追加され、表示設定を計算する方法を選択できるようになりました。このオプションを使用すると、精度が多少下がる代わりに、パフォーマンスを向上することができます。
ジオデータ
ジオデータベースおよびデータベース
ArcGIS 10.3.1 以降、Oracle の読み取り専用のデータベースまたはジオデータベースに接続できるようになりました。この機能は、Oracle Data Guard を使用する場合に役立ちます。読み取りアクセス専用のスタンバイ データベースの 1 つに接続することで、マップ サービスを介したデータの共有などのプライマリ データベースの負荷を軽減することができます。
ALTIBASE、SAP HANA、または Teradata データベースを ArcGIS for Server に登録し、それらのデータをフィーチャ サービスとして公開できるようになりました。これにより、Web サービスを介して空間レイヤーを共有できるようになります。フィーチャ サービスに対する編集を有効にし、アプリケーションを介してフィーチャ サービスに接続しているユーザーがデータを更新することを許可することもできます。
ArcGIS 10.3.1 から Oracle 12c データベースにフィーチャクラスまたはテーブルを読み込むか、新規に作成した場合、ArcGIS は ObjectID フィールドに Oracle ID 列を使用します。この ID 属性は、Oracle 12c での新機能です。ObjectID フィールドにネイティブ データベースの ID 列を使用すると、行やフィーチャを挿入する際のパフォーマンスが向上します。
エクステンション
3D Analyst エクステンション
- LAS ファイルの鉛直測地基準系情報のサポートの改善を含めて、空間参照処理が改善されました。
- [高さによる LAS の分類 (Classify LAS By Height)]、[エリアによる LAS ポイントの統計 (LAS Point Statistics By Area)]、[近接性による LAS ポイントの特定 (Locate LAS Points By Proximity)] という 3 つの新しいジオプロセシング ツールを利用できます。
- [可視領域 (詳細設定) (Viewshed 2)] ツールが追加されました。
Spatial Analyst エクステンション
[画像分類] ツールバーに、セグメント化された画像からトレーニング サンプルを作成するための新しいツールが追加されました。
ArcGIS 10.3.1 の Spatial Analyst ジオプロセシング ツールに対する変更の詳細は、前述の「Spatial Analyst ツールボックス」のセクションをご参照ください。