3D Analyst のライセンスで利用可能。
立ち上げとは、平面の 2D シェープを垂直方向に伸ばして 3D オブジェクトを作成するプロセスです。これは、二次元フィーチャから三次元シンボルを作成する簡単な方法です。たとえば、高さの値を使用して建築物のポリゴンを立ち上げて、リアルな建築物の形状を表現できます。
基本的なジオメトリ タイプであるポイント、ライン、ポリゴンはすべて立ち上げをサポートしています。マルチパッチ、ラスター、アノテーション フィーチャなどのその他のジオメトリ タイプは立ち上げをサポートしていません。そのため、これらのフィーチャのレイヤー プロパティでは立ち上げオプションが自動的に無効になります。
ポイント フィーチャおよびマルチポイント フィーチャは、垂直方向の立ち上げによりラインを作成します。これは、位置をハイライト表示するなどの単純なタスクで便利です。さらに複雑な用途として、国内都市の人口など、属性値を使用してポイントを立ち上げた仮想グラフの作成があります。
ライン フィーチャは、垂直方向の立ち上げにより壁を作成します。この効果は、3D での重要な境界の作図、垂直方向の表現、または送電線の下の飛行禁止エリアなど立ち上げたリニア フィーチャの仮想効果の作成に便利です。
ポリゴン フィーチャは、垂直方向の立ち上げにより箱を作成します。ポリゴンの立ち上げの最も一般的な用途は、建築物の敷地を 3D 建築物に変換することです。ただし、不動産価格、国の人口、または国勢調査の地域の収入など、代表的な値について使用することもできます。
ArcGlobe の [グローブの立ち上げ] タブと ArcScene の [立ち上げ] タブには、立ち上げ値または条件式および各フィーチャ レイヤーの立ち上げ方法を設定するために必要なレイヤー プロパティが表示されます。フィーチャの基準高度が設定されたら、立ち上げを適用できます。標高と立ち上げのレイヤー プロパティを組み合わせると、3D フィーチャを必要とせずによりリアルな 3D ビューを作成することができます。
立ち上げ方法
データを立ち上げるには 4 つの方法があります。
- 各フィーチャの最小標高値から立ち上げ
- フィーチャの最小 Z 値に立ち上げ高さを加算して Z 値が計算され、その値でフィーチャが平らな上面で立ち上げられます。
- この方法は、ラインとポリゴンにのみ使用されます。ポイント値は最小と最大 Z 値が同じなので、除外されます。
- この方法を、建築物の敷地を立ち上げて 3D 建築物のシンボルを生成するようなプロジェクトに適用できます。
- 各フィーチャの最大標高値から立ち上げ
- フィーチャの最大 Z 値に立ち上げ高さを加算して Z 値が計算され、その値でフィーチャが平らな上面で立ち上げられます。
- この方法は、ラインとポリゴンにのみ使用されます。ポイント値は最小値と最大 Z 値が同じなので、除外されます。
- 最初の方法と似ていますが、このオプションは建築物の敷地の立ち上げにも使用できます。傾斜した地面にある建築物では、これが特に便利です。
- 指定した標高値から立ち上げ
- フィーチャの Z 値には関係なく、指定した Z 値まで平らな上面としてフィーチャが立ち上げられます。
- この方法は、ポイント、ライン、ポリゴンのいずれのジオメトリ タイプでも使用できます。
- 指定した Z 値を使用するということは、フィーチャを立ち上げるときに、各フィーチャの立ち上げ高さの絶対値を持つ属性が使用されるということです。属性の例として、海抜 (単位: m) があります。
- 各フィーチャの標高値から立ち上げ
- フィーチャのベース (標高) の各頂点について Z 値が計算され、フィーチャがさまざまな Z 値まで立ち上げられます。ポリゴン フィーチャについて、立ち上げた壁に接続する上面と底面も自動生成され、閉じたシェープが作成されます。
- この方法は、ポイント、ライン、ポリゴンのいずれのジオメトリ タイプでも使用できます。
- この方法は、フェンス ラインのような境界のアウトラインについて一般的に使用できます。
立ち上げ方法 4 の推奨事項
- この方法は計算にリソースを多用するため、ArcGlobe でこの立ち上げ方法を使用するレイヤーを全キャッシュするときには、十分な検討が必要です。
- 精度の理由から、この立ち上げオプションを使用する ArcGlobe のドレープ レイヤーを、特定のサーフェスを参照するフローティング レイヤーとして設定することをお勧めします。ArcScene ではフローティングのみ可能です。
- レイヤーの Z 値がサーフェスから得られる場合は、ソースの標高データを変更しても立ち上げレイヤーの表示は自動的に更新されません。レイヤーを右クリックして、[最新の情報に更新] をクリックし、レイヤーを手動で更新する必要があります。
- 立ち上げるシェープについて、既存の頂点のみが参照ポイントとして使用されます。ラインまたはポリゴンが山岳地域のサーフェスから Z 値を取得する場合、立ち上げの結果がテレインにより近く沿うためにはシェープ上の頂点数を増加する必要がある場合があります。
ArcGlobe で大型ポリゴンを立ち上げる際に特に検討すべき事項
任意のサイズのポリゴンを立ち上げるときには、ポリゴンの境界が立ち上げられ、向かい合う壁の間に内挿されるシェープとして上面と底面が計算されます。
ポリゴンのサイズとシェープの範囲によっては、ArcGlobe は立ち上げたポリゴンの内部にグローブ サーフェスを表示することがあります。これは、下にあるグローブの標高データ、または非常に大きいポリゴンの場合は地球の曲率が原因です。これらの影響の例を以下の図に示します。
ときとして、この効果が望ましいことがあります。たとえば、霧を立ち上げたポリゴンとして表示し、高地を上面から突き出すことができます。一方、この効果を防止したい場合もあります。異なる視覚化手法やデータを使用することにより、この効果を防ぐことができます。
立ち上げたポリゴンを通過してグローブ サーフェスを表示する地球の曲面を抑制するには、ポリゴンのサイズを小さくする必要があります。この最も簡単な方法は、ポリゴンを小さい部分に分割することです。
ただし、ビジュアライゼーションの目的が、サーフェス自体が持ち上げられたように立ち上げポリゴンを表示することにある場合、この目的を達成する方法にはさまざまなものがあります。まず挙げられる方法は、対象エリアの上面と底面の 2 つの TIN サーフェスの作成を行い、次に [TIN サーフェス間で立ち上げ (Extrude Between)] ジオプロセシング ツールを使用して 2 つのサーフェス間にマルチパッチ フィーチャを作成することです。もう 1 つの方法は、[ポリゴンを内挿してマルチパッチを作成 (Interpolate Polygon to Multipatch)] を使用して、立ち上げたポリゴンの上面を作成し、ポリゴンの周長をポリラインに変換してから、次にポリラインを立ち上げて垂直な外側の壁を作成することです。