縮尺の課題は、GIS と CAD システム では座標系の扱い方に根本的な違いを明らかにします。GIS は、世界をモデル化し、その上にあるオブジェクトを地域的なスケールまたはグローバル スケールでモデル化します。逆に CAD システムは、地表による影響を比較的受けないスケールで、実際のオブジェクトをモデル化するために使用されます。 このスケールでは、分析の際に主に注目されるのは、実際の地理的な位置よりも設計の意図や幾何学的な精度です。したがって、CAD データは一般的に GIS データよりもスケールにおいては小さくなりますが、高い詳細レベルを表すことができます。
このトピックでは CAD 座標系について説明し、CAD データをマップに統合することによって問題が発生する理由を説明します。
座標系
MicroStation および AutoCAD は、2D および 3D の直交座標系を使用して、データの位置を固定座標系で表します。X、Y、および Z 座標は、本質的に地理的な位置ではなく、任意の幾何学的な原点（0,0,0）を基準とした位置を表します。X 軸は東向きの方向、Y 軸は北向きの方向と考えることができますが、必ずしも空間データの平面方向に変換されるとは限りません。
投影されたグリッド ゾーンの X、Y 座標に対応する CAD データを作成することも可能ですが、ほとんどの CAD データはこれを考慮せずに作成されます。一般的に、地物は局地的な標高で計測された距離を使用して、他の地物を基準に計測されます。
距離単位
CAD ファイルの距離単位はデータの座標系に依存せず、データの座標系によって定義されません。ドローイングの単位が何を表すかは、作成者がデータ作成を開始する前に決定します。
一般的なルールとして、CAD ドローイング（またはモデル）は、フル スケール（1:1）で描画されます。ドローイングの単位では、インチ、ミリメートル、メートル、フィートなどの計測の距離単位を表すことができます。通常、これらはドローイングで表す詳細レベルに基づいて決定します。たとえば、建物の内部空間のドローイングではインチやミリメートルなどの単位を使用しますが、測量や景観計画のドローイングではフィートやメートルの単位を使用します。
ドローイング スケールと印刷メディア
ドローイング スケールは、ドローイングのページ レイアウト ビューで実行される表示機能です。実際の CAD モデル データとは独立していて、一般的には ArcGIS for Desktop でのデータの表示には影響しません。通常は、ドローイング スケールよりも、ドローイングの単位と割り当てられた空間参照の不一致が、ArcGIS で CAD データを操作するときにスケールの不一致が生じる主な原因となります。
印刷メディアは、通常、建築家や土木技師が使用する ISO（International Organization for Standardization）や北米の用紙サイズ規格などの一般的な標準に準拠しています。