バンド演算関数は、ラスター データセットのバンドを対象に算術演算を実行します。定義済みのアルゴリズムを選択することも、ユーザー独自の単一行の式を入力することもできます。サポートされる演算子は、-、+、/、*、および単項 - です。
この関数の入力は次のとおりです。
- 入力ラスター
- メソッド - 定義済みの式またはユーザー定義の式のどちらか。
- バンド インデックスまたは式
- バンド インデックスの場合は、定義済みの式に使用するバンド番号を示すスペース区切りのリストを入力します。
- 式の場合は、単一行の式を入力します。
ユーザー定義メソッド
単一行の代数式を入力して、シングルバンド出力を作成できます。サポートされる演算子は、-、+、/、*、および単項 - です。バンドを指定するには、バンド番号の前に B または b を付けます。例は次のとおりです。
B1 + B2 b1 + (-b2) (B1 + B2) / 2(B3 * B5)
定義済みメソッド
定義済みメソッドの場合は、使用するバンド番号を示すスペース区切りのリストを入力できます。
GEMI メソッド
Global Environmental Monitoring Index (GEMI) は、衛星画像から世界規模で環境をモニターリングするための非線形植生指数です。これは NDVI と似ていますが、大気の影響を受けづらいという利点があります。このメソッドは露出土壌による影響を受けるため、低密度または中密度の植生地域で使用することはお勧めしません。
GEMI=eta*(1-0.25*eta)-((Red-0.125)/(1-Red))
ここで
eta=(2*(NIR2-Red2)+1.5*NIR+0.5*Red)/(NIR+Red+0.5)
- NIR = 近赤外バンドのピクセル値
- Red = 赤色のバンドのピクセル値
スペース区切りのリストを使用して、NIR Red の順序で近赤外および赤色のバンドを指定します。たとえば、4 3 のように指定します。
この指数は、0 から 1 の範囲の値を出力します。
参考文献:Pinty, B. および Verstraete、M. M. 1992、「GEMI:a non-linear index to monitor global vegetation from satellites」、Plant Ecology、Vol. 101、15–20
GVI (Landsat TM) メソッド
Green Vegetation Index (GVI) は、当初は Landsat MSS 画像用に設計されたものですが、Landsat TM 画像に対応するように改良されました。Landsat TM Tasseled Cap green vegetation index とも呼ばれます。このメソッドは、同じスペクトルの特徴を共有するバンドを持つ画像に使用できます。
GVI=-0.2848*Band1-0.2435*Band2-0.5436*Band3+0.7243*Band4+0.0840*Band5-1.1800*Band7
スペース区切りのリストを使用して、6 つの Landsat TM バンドを 1 から 5、6 の順序で指定します。たとえば、1 2 3 4 5 7 のように指定します。入力に 6 つのバンドが通常の順序で含まれている場合は、[バンド インデックス] テキスト ボックスに値を入力する必要はありません。
この指数は、-1 から 1 の範囲の値を出力します。
参考文献:Todd, S. W.、R. M. Hoffer、および D. G. Milchunas、1998、「Biomass estimation on grazed and ungrazed rangelands using spectral indices」、International Journal of Remote Sensing、Vol. 19、No. 3、427–438
改良 SAVI メソッド
Modified Soil Adjusted Vegetation Index (MSAVI2) は、SAVI での露出土壌の影響を最小限に抑えることを目的としています。
MSAVI2 = (1/2)*(2(NIR+1)-sqrt((2*NIR+1)2-8(NIR-Red)))
- NIR = 近赤外バンドのピクセル値
- Red = 赤色のバンドのピクセル値
スペース区切りのリストを使用して、NIR Red の順序で近赤外および赤色のバンドを指定します。たとえば、4 3 のように指定します。
参考文献:Qi, J. ほか、1994、「A modified soil vegetation adjusted index」、Remote Sensing of Environment、Vol. 48、No. 2、119–126
NDVI メソッド
正規化植生指標 (NDVI) は、植生の有無・活性度を表す標準化された指数 (相対バイオマス) です。この指数は、マルチスペクトル ラスター データセットの 2 つのバンドの特性のコントラストを活用しています。具体的には、赤色のバンドにおけるクロロフィル色素の吸収と、近赤外 (NIR) バンドにおける植物の細胞構造による高い反射特性を利用しています。
提案されているデフォルトの NDVI 計算式は以下のとおりです。
NDVI = ((NIR - Red)/(NIR + Red))
- NIR = 近赤外バンドのピクセル値
- Red = 赤色のバンドのピクセル値
スペース区切りのリストを使用して、NIR Red の順序で近赤外および赤色のバンドを指定します。たとえば、4 3 のように指定します。
この指数は、-1.0 から 1.0 の範囲の値を出力します。
PVI メソッド
Perpendicular Vegetation Index (PVI) は、差分植生指数と類似していますが、大気の変動による影響を受けやすい点が異なります。このメソッドを使用してさまざまな画像を比較する場合は、大気補正された画像のみを対象にこのメソッドを使用する必要があります。
PVI=(NIR-a*Red-b)/(sqrt(1+a2))
- NIR = 近赤外バンドのピクセル値
- Red = 赤色のバンドのピクセル値
- a = ソイル ラインの傾き
- b = ソイル ラインの勾配
スペース区切りのリストを使用して、NIR Red a b の順序で近赤外および赤色のバンドを指定し、a と b の値を入力します。たとえば、4 3 0.3 0.5 のように指定します。
この指数は、-1.0 から 1.0 の範囲の値を出力します。
SAVI メソッド
Soil-Adjusted Vegetation Index (SAVI) は、土壌調整係数を使用して、土壌の明るさの影響を最小限にすることを目的とした植生指数です。このメソッドは、植生の割合が低い乾燥した地域によく使用されます。
SAVI = ((NIR - Red) / (NIR + Red + L)) x (1 + L)
NIR および Red は、これらの波長に関連したバンドを表します。L 値は、緑色植生の割合によって異なります。一般に、緑色植生のない地域では L=1、緑色植生の割合が中程度の地域では L=0.5、植生の割合が非常に高い地域では L=0 (NDVI メソッドと同等) になります。この指数は、-1.0 から 1.0 の範囲の値を出力します。
スペース区切りのリストを使用して、NIR Red L の順序で近赤外および赤色のバンドを指定し、L 値を入力します。たとえば、4 3 0.5 のように指定します。
参考文献:Huete, A. R.、1988、「A soil-adjusted vegetation index (SAVI)」、Remote Sensing of Environment、Vol 25、295–309
Sultan の式によるメソッド
Sultan プロセスでは、6 バンドの 8 ビット画像を対象に、Sultan の式を使用して 3 バンドの 8 ビット画像を作成します。得られる画像では、海岸線に沿ったオフィオライトと呼ばれる岩石層が強調されます。この式は、Landsat 5 または 7 シーンの TM バンドまたは ETM バンドに基づいて定められたものです。それぞれの出力バンドを作成するために適用される式は、次のとおりです。
Band 1 = (Band5 / Band6) x 100 Band 2 = (Band5 / Band1) x 100 Band 3 = (Band3 / Band4) x (Band5 / Band4) x 100
スペース区切りのリストを使用して、6 つのバンドを 1 から 6 の順序で指定します。たとえば、1 2 3 4 5 6 のように指定します。入力に 6 つのバンドが通常の順序で含まれている場合は、[バンド インデックス] テキスト ボックスに値を入力する必要はありません。
変換 SAVI メソッド
Transformed Soil Adjusted Vegetation Index (TSAVI) は、ソイル ラインの傾きと切片が任意に指定されることを前提として、土壌の明るさによる影響を最小限にすることを目的とした植生指数です。
TSAVI=(s(NIR-s*Red-a))/(a*NIR+Red-a*s+X*(1+s2))
- NIR = 近赤外バンドのピクセル値
- R = 赤色のバンドのピクセル値
- s = ソイル ラインの傾斜
- a = ソイル ラインの切片
- X = 土壌のノイズを最小化するように設定された調整係数
スペース区切りのリストを使用して、NIR Red s a X の順序で近赤外および赤色のバンドを指定し、s、a、および X の値を入力します。たとえば、3 1 0.33 0.50 1.50 のように指定します。
参考文献:Baret, F. および G. Guyot、1991、「Potentials and limits of vegetation indices for LAI and APAR assessment」、Remote Sensing of Environment、Vol. 35、161–173