代数演算式を使用したラスター解析の実行

Spatial Analyst のライセンスで利用可能。

複雑性:

上級

データ要件:

独自データの使用

このワークフローでは、ローカル関数を使用して、1 つ以上の画像を用いた複雑な代数計算を実行し、表示結果を生成する方法について説明します。この例では、ある領域の雪崩に対する感受性を計算します。この解析の入力は、領域のデジタル標高モデル (DEM) と、その標高から派生したレイヤーです。これらすべてのレイヤーが配置されると、以下のファクターを合計して雪崩感受性インデックスを計算できます。

• 標高は約 4,000 フィート。
• 傾斜角は 25 ～ 45 度。
• 傾斜方向は 135 ～ 225 度。
• 平面曲率はゼロ未満。
• 断面曲率はゼロより大きい。

注意:

このワークフローで使用される値は、例として使用することを目的にしています。実際の雪崩感受性モデルを実行しようとする場合、特定の研究分野に関連する値を、さらに研究して見つける必要があります。

以下のワークフローでは、ピクセル値によって雪崩感受性を表すラスターを作成する手順を示します。ピクセル値が大きいほど、雪崩に対する感受性が高いことを表します。このワークフローでは、次の 3 種類のラスターが必要になります。フィート単位のピクセル値を持つ DEM、DEM のピクセル値からの平面曲率計算、および断面曲率計算です。また、DEM 値の傾斜角と傾斜方向も計算します。これらの計算は、リアルタイムで実行されます。

ライセンス:

[ローカル関数] と [曲率 (Curvature)] ツールを使用するために、Spatial Analyst ライセンスを有効化する必要があります。

DEM の設定

ローカル関数を挿入できるようにするために、まず、DEM を設定する必要があります。

1. DEM を ArcMap に追加します。
2. [画像解析] ウィンドウで、DEM を選択します。

   

3. [関数の追加] ボタン をクリックします。

   これによって、[ラスター関数エディター] ウィンドウが表示されます。

5 つのファクターの合計の設定

ローカル関数を使用する場合、各代数演算を実際に実行する前に、結果を設定する必要があることがあります。このセクションでは、感受性インデックスのアーキテクチャを設定します。

1. Dem_ft.tif を右クリックして [挿入] をポイントし、[ローカル関数] を選択します。

   

   ローカル関数を使用するには、Spatial Analyst ライセンスを有効化する必要があります。

2. [セル統計] セクションにある [合計] に対する操作を設定します。

   

3. [入力ラスター] リスト内の入力ラスターを選択します。
4. [アイテムの追加] ボタン をクリックし、[選択した入力に参照を追加] を選択します。

   

5. 2 つの Dem_ft.tif エントリが存在するようにするために、ステップ 4 をもう一度繰り返します。
6. [アイテムの追加] ボタン を再びクリックし、[ラスターをディスクから追加] をクリックします。

   

7. 平面曲率ラスター データセットを参照し、それを追加します。
8. 断面曲率ラスター データセットについて、ステップ 6 と 7 を繰り返します。

   

9. チェーンの先頭で、ローカル関数の名前を「Sum」に変更します。

   

これで、感受性インデックスの 5 つのファクターを設定しました。以降のセクションでは、これらの各ファクターをブランチと呼びます。

4,000 フィートを超えるピクセルの検索

ローカル関数内の 1 番目のブランチで、4,000 フィートを超えるピクセルを選択します。

1. 1 番目のブランチで、ローカル関数を挿入します。

   

2. 演算子を、[論理演算] セクションにある [Greater Than] に設定します。
3. [アイテムの追加] ボタン をクリックし、[スカラーの追加] をクリックします。

   

4. 「4000」の値を入力してから [OK] をクリックします。

   

5. [一般] タブで、関数名を「Greater Than 4000」に設定し、[OK] をクリックします。

   

傾斜角の許容値の範囲内のピクセルの検索

ローカル関数内の 2 番目のブランチで、25 ～ 45 度の範囲内の傾斜角を持つピクセルを選択します。

1. 2 番目のブランチの上に、傾斜角関数を追加します。
2. 傾斜角関数の上に、ローカル関数を追加します。

   

3. [入力ラスター] セクションで、最初の入力ラスターを選択します。
4. [アイテムの追加] ボタン をクリックし、[選択した入力のコピーを追加] を選択します。[OK] をクリックします。

   

5. 演算子 [Boolean And] を選択し、[一般] タブで関数に「Boolean And」という名前を付けます。[OK] をクリックします。

   

6. 1 番目の傾斜角ブランチの上に、ローカル関数を追加します。演算子 [Greater Than] を選択して、25 のスカラーを追加します。

   

7. 2 番目の傾斜角ブランチの上に、ローカル関数を追加します。演算子 [Less Than] を選択して、45 のスカラーを追加します。

   

8. 見やすくするために、最初の 2 つのブランチのチェーンを最小化します。

   

傾斜方向の許容値の範囲内のピクセルの検索

3 番目のブランチで、135 ～ 225 度の範囲内の傾斜方向を持つピクセルを選択します。

1. 2 番目のブランチの上に、傾斜方向関数を追加します。
2. 傾斜方向関数の上に、ローカル関数を追加します。
3. [入力ラスター] セクションで、最初の入力ラスターを選択します。
4. [アイテムの追加] ボタン をクリックし、[選択した入力のコピーを追加] を選択して、[OK] をクリックます。
5. 演算子 [Boolean And] を選択し、[一般] タブで関数に「Boolean And」という名前を付けます。[OK] をクリックします。

   

6. 1 番目の傾斜方向ブランチの上に、ローカル関数を追加します。演算子 [Greater Than] を選択して、135 のスカラーを追加します。

   

7. 2 番目の傾斜方向ブランチの上に、ローカル関数を追加します。演算子 [Less Than] を選択して、225 のスカラーを追加します。

   

平面曲率と断面曲率の許容値の設定

ローカル関数の 4 番目と 5 番目のブランチで、平面曲率と断面曲率の閾値を設定します。平面曲率ブランチで、0 よりも大きいピクセルを選択します。断面曲率ブランチで、0 よりも小さいピクセルを選択します。

1. 平面曲率ブランチでローカル関数を追加し、演算子 [Greater Than] を選択して 0 のスカラーを追加します。

   

2. 断面曲率ブランチでローカル関数を追加し、演算子 [Less Than] を選択して 0 のスカラーを追加します。

   

   最終的なローカル関数チェーンは、以下のように表示されるはずです。

   

このローカル関数の結果は、0 ～ 5 の範囲の値を持つラスター データセットになります。0 と 1 (緑色) の値は低い雪崩感受性を持ち、4 と 5 の値 (オレンジ色と赤色) は高い雪崩感受性を持ちます。

最終的な感受性マップ

このトピックへのフィードバック