米国内のほとんどの領域を扱っているデジタル テレイン データは、USGS DEM 形式のものが米国地質調査所 (USGS) から提供されています。詳細については、Web サイト Nationalmap.gov の Digital Elevation Model Standards をご参照ください。
USGS 7.5 分および 1 度の各 DEM から作成されたラスター データセット間の相違点に注目することは大切です。その 2 つのソースから作成されたラスター データセット間の比較が、次の表です。
要素 | 7.5 分の DEM から作成されたラスター データセット | 1 度の DEM から作成されたラスター データセット |
---|---|---|
地理範囲 | ||
| 7.5' x 7.5' | 1° x 1° |
| 12 km x 14 km | 90 km x 110 km |
投影法 | UTM | 地理 |
ゾーン | 1 ~ 60 | なし |
地表面単位 | メートル | アーク秒 |
サーフェス Z 単位 | メートル | メートル |
楕円体 | Clarke 1866 | WGS72 |
X シフト | 0.00000 | 0.00000 |
Y シフト | 0.00000 | 0.00000 |
X と Y における標高ポイント間の距離 | 30 メートル x 30 メートル | 3 アーク秒、75 メートル x 75 メートル (米国における概算値) |
X と Y における標高ポイント数 | 変動。通常の列数の範囲は 345 ~ 385 で、行数の範囲は 460 ~ 475 です。 | 1201 x 1201 (一定) |
ラスター データセット内の標高ポイント間隔の間での地表面距離の変動 | 間隔は一定で変動なし。 | 緯度に応じて変動。 |
USGS 1 度の DEM から構成されたラスター データセットは、体積や、傾斜角、または精密な可視領域解析に直接的には適していません。これは、X、Y 位置は緯度と経度で測定されるのに対して、Z 値はメートル単位で測定されるためです。結果的に、ある地表単位で表される地表上の実際の距離は一定にはならず、地表単位とサーフェス Z 単位とで計測単位が異なることになります。
USGS 7.5 分 DEM には 30 メートルの一定間隔でサーフェスの高さが含まれますが、1 度 DEM には 3 アーク秒間隔で地表の高さが含まれます。3 アーク秒で表される地表単位の実際の距離は、ラスター データセット内においても緯度に応じて変動します。たとえば、ラスター データセット上部の南部カリフォルニア州近辺において、3 アーク秒は X では 76.86 メートル、Y では 92.36 メートルで測定されます。ラスター データセット下部において、3 アーク秒は X では 77.11 メートルで測定されます。北極の地域では、X の距離はゼロに近づきます。
7.5 分の USGS DEM は、オルソフォトマッピング プログラムの副産物です。一部のオルソ写真は、複数のプロファイルに沿った高さが生成される、半自動の地形計測機器を使って作成されるものがあります。「そのような標高が 30 メートルの矩形グリッドにリサンプリングされた場合、内挿手法を介して生成される推定の標高は、プロファイルに平行な方向に沿った空間的自己相関が、直交方向に比べてはるかに強くなります。これらのモデルから生成されるイメージの多くには、プロファイラのスキャン方向に平行な「ストライプ」がくっきりと表示されています」このトピックのリファレンスについては、『Proceedings of the Sixth International Symposium on Computer Assisted Cartography (Auto-Carto VI), Vol. 2』 (Mark, D. 著、1983 年刊行) の 288 ~ 298 ページ「Automated Detection of Drainage Networks from Digital Elevation Models」をご参照ください。
これがデータに影響しているかどうかは、[陰影起伏 (Hillshade)] ツールでラスター データセットの陰影起伏を作成して表示すればチェックできます。ストライピングが表示される場合は、標高ラスターを使用する前に [フィルター (Filter)] ツールを使用してまず値を平滑化し、LOW フィルター タイプを指定してください。
DEM の投影
サーフェス モデルを体積解析、傾斜角解析および精密な可視領域解析用に最適化するには、1 度の USGS DEM の地表単位を角のない計測単位 (たとえば、UTM やランベルト図法) に投影する必要があります。加えて、サーフェス Z 単位を地表単位と同じ計測単位で表すことも必要です。
ラスター データセットを所定の投影に変換する場合、または測地基準系を変更する場合には、[投影変換 (Project)] ツールまたは [ラスターの投影変換 (Project Raster)] ツール (BILINEAR または CUBIC リサンプリング手法を利用) を使用します。
WGS72 測地基準系では一般的な変換方式が NAD27 または NAD83 と共有されないので、それと同等な測地基準系を使用する必要があります。