Spatial Analyst のライセンスで利用可能。
コスト距離ツールは、各セルについて、コスト サーフェス上で指定したソース位置までの最小累積コストの値を計算します。ソースとコスト データセットを最初に作成しておく必要があります。これらのデータセットは、ArcGIS Spatial Analystの各種ツールを使用して作成できます。
複数条件によるコスト サーフェスの作成
次の例では、新しい道路を建設するための最小コスト パスを算出します。このパスを作成するには、最初にコスト距離サーフェスを作成する必要があります。その際、ソース位置のデータセットとコスト ラスターを入力として必要とします。ここでは、コスト ラスターの作成方法を説明します。
ソース
ソースは、解析の始点となるフィーチャです。以下の図では、建設予定道路の開始位置となる領域が赤色で示されています。
コスト ラスター
コスト ラスターは、各セルを移動する際のコストを表します。このラスターを作成するには、各セルを通る道路の建設におけるコストを特定する必要があります。コスト ラスターは 1 つのデータセットですが、多くの場合、複数の条件を表すために使用されます。この例では、土地利用と傾斜角が建設コストに影響を与えます。これらのデータセットはそれぞれ評価尺度が異なるので (土地利用タイプと傾斜率)、互いを直接比較することはできません。このため、共通の評価尺度に再分類する必要があります。
コスト ラスターの作成
ここの例では、コスト ラスターの作成における 3 つの一般的なステップを示します。
データセットの共通評価尺度への再分類
傾斜ラスターと土地利用ラスターは 10 段階 (1 ~ 10) で再分類されています。各データセットの値が道路建設のコストに与える影響を考える必要があります。たとえば、斜面の傾斜角が急であればあるほど移動コストが大きくなるので、このデータセットを再分類する際には、傾斜角の大きい斜面に高めのコストが割り当てられます。以下の図にこの結果を示します。
影響度に基づくデータセットへの重み付け
コスト ラスターを作成する次のステップは、再分類したデータセットを 1 つに結合することです。最も簡単なのは、複数のデータセットを単に加算する方法です。ただし、すべての要因が同じ重要度とは限りません。たとえば、土地利用タイプより、傾斜角の大きい斜面を回避する方が 2 倍重要であるとすると、傾斜角データセットには影響度として 66 % を指定し、土地利用データセットには影響度 34 % を指定します (合計で 100 %)。以下の図に、これについてのプロセスの概念を示します。
データセットの結合
最終的なコスト ラスターを作成するために、重み付けしたそれぞれのデータセットを加算します。
以下の図は、最終的なコストラスターを示しています。これは、傾斜角と土地利用の入力データセットを再分類し、それぞれ 0.66 と 0.34 の重みを適用した、2 つのデータセットを結合したものです。
このコスト サーフェス ラスターは、[コスト距離 (Cost Distance)] やその他のコスト ツールの入力として使用できます。