Spatial Analyst のライセンスで利用可能。
[セグメンテーションと分類] ツールは、オブジェクトに基づき画像から地物を抽出するアプローチを提供します。これらのオブジェクトは、近隣にあり、類似のスペクトル特性を持つピクセルを 1 つのセグメントにグループ化する画像セグメンテーション プロセスを使用して作成されます。さらに特定の形状、スペクトル、空間特性を示すセグメントをオブジェクトにグループ化することができます。オブジェクトは、次に、地上の現実世界の地物を表現するクラスにグループ化できます。ピクセル画像、たとえばセグメント化されていない一般的な画像に対する画像分類を実行することもできます。
オブジェクト指向の地物抽出プロセスは、画像セグメンテーション、セグメントの分析情報の取得、分類の 3 つの主要な機能分野を取り扱うツールによってサポートされているワークフローです。1 つのツールからのデータ出力は、後続のツールに対する入力になります。この場合の目的は、有意なオブジェクト指向の地物クラス マップを生成することです。オブジェクト指向のプロセスは、一般的な画像、ピクセルベースの分類プロセス、教師付き分類手法および教師なし分類手法を利用することに類似しています。プロセスは、ピクセルを分類するのではなく、スーパー ピクセルと見なすことができるセグメントを分類します。各セグメント、つまりスーパー ピクセルは、分類された画像を生成する分類器ツールが使用する一連の属性によって表現されます。
次の図は、オブジェクト指向の地物抽出ワークフローを示したジオプロセシング モデルです。
画像セグメンテーション
画像セグメンテーションは、平均シフト アプローチに基づいています。この手法では、移動ウィンドウを使用して、どのピクセルを各セグメントに含めるかを決定する平均ピクセル値を計算します。ウィンドウは、画像の上を移動するときに、値を繰り返し再計算して、各セグメントが最適であることを確認します。結果は、平均色によって特徴付けられた 1 つのセグメントにグループ化された画像ピクセルです。
[セグメント平均シフト (Segment Mean Shift)] ツールは、Esri がサポートしているラスターを使用して、[セグメント化] に設定されたキー プロパティを含む3 バンドおよび 8 ビット カラーのセグメント化画像を出力します。画像セグメントの特性は、スペクトル詳細、空間詳細、および最小セグメント サイズによって異なります。対象の地物を特徴付ける詳細の量は変更することができます。たとえば、個々の建物よりも不透水性の地物により興味がある場合、空間的詳細度パラメーターを小さい値に変更します。値が小さいほど、結果は滑らかで詳細でなくなります。
次の画像は、カラー赤外の、セグメントされた DigitalGlobe 提供の WorldView-2 シーンです。セグメント画像は、スペックルを多く含まない、グループ化された類似エリアを示しています。これは、画像中に多数のピクセルをランダムに散在させる可能性のあるより一般的な分類と違い、エリアを単純化してすべての地物を大きな連続エリアとして維持します。
参考文献:
- D. Comanicu, P. Meer:Mean shift: A robust approach toward feature space analysis. IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., May 2002.
- P. Meer, B. Georgescu: Edge detection with embedded confidence. IEEE Trans. Pattern Anal. Machine Intell., 28, 2001.
- C. Christoudias, B. Georgescu, P. Meer: Synergism in low level vision. 16th International Conference of Pattern Recognition, Track 1 - Computer Vision and Robotics, Quebec City, Canada, August 2001.
トレーニング サンプル データ
トレーニング サンプル データの収集は、画像から定義される特定のフィーチャを表すピクセルのグループを定義することを意味します。次に画像内のすべてのピクセルは、指定したクラス定義と統計的に比較され、特定のフィーチャクラスに割り当てられます。定義したいずれのクラスにも属さないピクセルは定義されません。トレーニング サンプルには、対象クラスに属さない不要なピクセルを含めないでください。各クラスに正しいピクセルを選択する場合のみ、結果はベルの形をした正常な分布によって特徴付けられることが多くなります。トレーニング サンプル ポリゴンに、有意な数のピクセルが含まれていることを確認してください。たとえば、10 x 10 のピクセル (100 ピクセル) は、トレーニング ポリゴンのサイズとして適切であり、統計的に有意です。
セグメント ラスター データセットは、各セグメント (スーパー ピクセルとも呼ばれます) が、1 つの平均色の値によって表現されるという点で、ピクセル画像とは異なります。画像から 100 ピクセルを含むトレーニング サンプル ポリゴンを取得するのは簡単ですが、セグメント たラスター データセットから 100 スーパー ピクセルを取得するのは、より手間がかかります。
最尤法による分類器などのパラメーター分類器では、有為な確率密度関数を得るために、統計的に有為な数のサンプルが必要です。統計的に有為なサンプルを得るには、1 クラスあたり 20 以上のサンプルが必要です。つまり、地表面、落葉樹、またはアスファルトなどの各クラスでは、各フィーチャクラスを定義するために、最低 20 セグメントを収集する必要があります。
スムージング処理は、セグメントのサイズと均質性に影響を与えます。高い値のスムージング ファクターを使用した、セグメントラスターには、大きなセグメントが含まれ、ソース画像に表示されている複数のタイプの地物が含まれている可能性が高くなります。スムージング効果のために、トレーニング サンプルは、セグメントラスター データセット上で収集することを推奨します。これにより、トレーニング サンプルが、個々の不連続なセグメントから収集されるようになります。
分析情報
セグメント レイヤーに関連付けられた分析情報は、分類器トレーニング ツールによって計算され、指定した分類器のタイプによって異なります。適切なトレーニング ツールを使用してデータを分類します。
分類器 | 説明 |
---|---|
ISO クラスターによる分類器定義ファイルの作成 (Train Iso Cluster Classifier) | ISO クラスター分類定義を使用して Esri 分類器定義 (.ecd) ファイルを作成します。 |
最尤法による分類器定義ファイルの作成 (Train Maximum Likelihood Classifier) | 最尤法による分類器定義ファイルの作成 (Train Maximum Likelihood Classifier) により、Esri 分類器定義 (.ecd) ファイルを作成します。 |
SVM による分類器定義ファイルの作成 (Train Support Vector Machine Classifier) | SVM分類定義を使用して、Esri 分類器定義 (*.ecd) ファイルを作成します。 SVM 分類器は優れた最新の教師付き分類方法であり、セグメント ラスター入力や標準的な画像を処理できます。これは、研究者の間で広く使用されている相対的に新しい分類方法です。 |
トレーニング ツールは、分類する画像、オプションによりセグメント レイヤー、および適切な分類器定義ファイルを作成するためのトレーニング サイト ポリゴン データを取得します。トレーニング サイト ファイルは、トレーニング サンプル マネージャーによって、既存の [分類] ツールバーを使用して生成されます。標準的なトレーニング サンプル ファイルは、教師付き分類器で使用されます。
分類器定義 *.ecd ファイルは、指定された分類器と対象の属性に基づいており、そのため分類器定義ファイルは、各分類器、ラスター入力、および属性において一意のファイルです。このファイルは、分類器署名ファイルに似ていますが、すべての分類器をサポートする点でより一般性があります。生成される分類器定義ファイルは、ソース データおよび分類器の特定の組み合わせにカスタマイズして生成されます。
分類器定義ファイルは、セグメント ラスターだけでなく、すべてのラスターに基づくことができます。たとえば、セグメント ラスターは、IKONOS マルチスペクトル データから取得され、統計情報および分析属性データは、6 バンド、パンシャープン WorldView-2 画像、QuickBird、GeoEye、Pleiades、RapidEye、または Landsat 8 画像から生成することができます。この柔軟性により、セグメント ラスターを取得した後、アプリケーションに応じた多数のイメージ ソースを使用して、分類器定義ファイルとそれによって分類された地物 マップを生成することができます。
セグメント属性の計算 (Compute Segment Attributes)
上記ツールは、オブジェクト指向のワークフローで利用される最も一般的なツールです。その他のツール、[セグメント属性の計算 (Compute Segment Attributes)] を使用すると、セグメント ラスターを、サード パーティー製のアプリケーションから取得したり、サード パーティー製のアプリケーションにエクスポートすることができます。このツールは、セグメント画像、トレーニング サイト ファイル、およびオプションの 2 番目のラスターを取得して、各セグメントの属性を計算したり、この情報を関連する属性テーブルを含むインデックス ラスター ファイルとして出力します。
このツールの目的は、これ以降にセグメントラスターを解析することです。属性は、サード パーティーの統計情報またはグラフィックス アプリケーションで分析するか、または Esri がサポートしていないその他の分類器への入力として使用できます。また、このツールは、サード パーティー パッケージからセグメント ラスターを取得し、Esri の機能を拡張します。これにより、サード パーティー データやアプリケーション パッケージを利用する際の柔軟性が高まります。
分類
[ラスターの分類 (Classify Raster)] ツールは、Esri 分類定義ファイルによって指定された画像分類器を実行します。ツールへの入力には、分類対象の画像、オプションのセグメント ラスター (別のラスター データセットや DEM などのレイヤー)、および分類されるラスター データセットを生成する分類器定義ファイルなどがあります。[ラスターの分類 (Classify Raster)] ツールには、サポートされている分類器すべてが含まれていることに注意してください。分類器定義ファイルに含まれているプロパティおよび情報に従って、適切な分類器が利用されます。そのため、[ラスターの分類 (Classify Raster)] を実行すると、[ISO クラスターによる分類器定義ファイルの作成 (Train ISO Cluster Classifier)]、[最尤法による分類器定義ファイルの作成 (Train Maximum Likelihood Classifier)]、または [SVM による分類器定義ファイルの作成 (Train Support Vector Machine Classifier)] が生成する分類器定義ファイルによって、該当する分類器が有効化されます。