Standard または Advancedのライセンスで利用可能。
丘の上に立って景色を見下ろすと、交差する道路や隣接した所有地を簡単に確認することができます。このような関係を識別するためにコンピューターが使用する数学的論理がトポロジです。
トポロジは、地理データにおいて接続または隣接したフィーチャ間の空間リレーションシップを明示的に定義します。実際の原理は非常に単純です。空間リレーションシップはリストとして表現されます (たとえば、ポリゴンはその枠線を構成するアークのリストによって定義されます)。
空間的な位置関係を作成して格納することには、さまざまな利点があります。データが効率よく格納されるため、大きなデータセットをすばやく処理することができます。トポロジは、ネットワーク上の接続回線のモデリング、同様の特性を持つ隣接したポリゴンの結合、隣接したフィーチャの特定、および地理フィーチャのオーバーレイなどの解析機能を可能にします。
カバレッジのトポロジ構造は、次の 3 つの主なトポロジ概念をサポートします。
- 接続性: アークはノードで接続されます。
- エリア定義: エリアを取り囲む接続されたアークはポリゴンを定義します。
- 隣接: アークには方向と左右があります。
接続性
接続性はアークノード トポロジによって定義されます。これはさまざまなネットワーク トレースや経路探索操作のベースとなります。接続性により、空港までの経路を特定したり、小川を河川に接続したり、水処理施設から住宅までの経路をたどることができます。
アークノード データ構造のアークは、アークの始点となるソース ノードと終点となるターゲット ノードの 2 つの端点によって定義されます。これをアークノード トポロジと呼びます。
アークノード トポロジは、アークノード リストを通じてサポートされます。このリストは各アークのソース ノードとターゲット ノードを識別します。接続されたアークは、リストで共通のノード番号を検索することによって割り出されます。次の例では、アーク 1、2、3 はすべてノード 11 を共有するため、交差していると判断することができます。アーク 1 とアーク 3 は共通のノード (11) を共有するため、コンピューターはアーク 1 に沿って進み、アーク 3 に方向転換できますが、アーク 1 から共通のノードを持たないアーク 5 へは直接進めないと判断します。
エリア定義
地理フィーチャの多くは、湖、土地区画、調査地区など、地表面上の特定のエリアを表します。エリアは、ポリゴンを定義する 1 つ以上の境界線によって、ベクター モデルで表現されます。これは直観に反するように思えますが、島が浮かぶ湖を想像してみてください。湖は、実際には 2 つの境界線を持ちます。外側の縁を定義する境界線と、内側の縁を定義する境界線です。ベクター モデル用語では、島はポリゴンの内側の境界 (またはホール) を定義します。
アークノード構造は、x、y 座標の閉じたループではなく、アークの順序付きリストとしてポリゴンを表します。これをポリゴンアーク トポロジと呼びます。次の図のポリゴン F は、アーク 8、9、10、7 で構成されます (7 の前の 0 は、このアークがポリゴン内に島を作成することを示します)。
アークはそれぞれ 2 つのポリゴンに示されています (この図では、アーク 6 はポリゴン B および C にあります)。ポリゴンはその境界線を定義するアークのリストにすぎないため、アーク座標は 1 つだけ格納されます。これにより、データの量を削減し、隣接するポリゴンの境界線が重ならないようにします。
隣接
境界線を共有する 2 つの地理フィーチャは隣接していると見なされます。隣接は、ベクター データ モデルにおいて隣接性を判断するためのトポロジ概念です。ポリゴン トポロジは隣接を定義します。共通のアークを持つ複数のポリゴンは互いに隣接しています。これは多くの近傍操作やオーバーレイ操作のベースとなります。
ソース ノードとターゲット ノードによってアークが定義されることを思い出してください。これはアークの方向を示すため、そのアークの左側および右側のポリゴンを決定することができます。ライトレフト トポロジは、アークの左側と右側のポリゴンを表します。次の図では、ポリゴン B はアーク 6 の左側に位置し、ポリゴン C は右側に位置します。したがって、ポリゴン B と C が隣接していることがわかります。
ポリゴン A のラベルがエリアの境界線の外にあることに注目してください。このポリゴンは外部または外周ポリゴンと呼ばれ、調査地域 (スタディ エリア) の外側を表します。この外周ポリゴンの存在により、各アークの左右が常に定義されます。
トポロジの生成
このセクションは、ArcGIS Desktop Advanced にのみ該当します。
[カバレッジ プロパティ] ダイアログ ボックスの [一般] タブには、トポロジを持つフィーチャクラスが表示されます。このタブから、カバレッジの保存場所や、カバレッジが単精度か倍精度かなど、カバレッジに関するその他の重要な情報を取得することもできます。フィーチャクラスをクリックすると、タブの下部に、フィーチャクラスに含まれているフィーチャの数が表示されます。
トポロジを持つはずのフィーチャクラスにトポロジが設定されていない場合は、[カバレッジ プロパティ] ダイアログ ボックスで [ビルド] または [クリーン] コマンドを実行するか、[ビルド (Build)] ツールまたは [クリーン (Clean)] ツールを使用してトポロジを生成できます。[ビルド] コマンドを使用すると、フィーチャクラスのフィーチャ属性テーブルも作成することができます。[ビルド] コマンドは、座標データが正確な場合に使用します。[クリーン] コマンドでは、交差するアークが検出され、それぞれの交差点にノードが配置されます。また、[クリーン] コマンドでは、指定した許容値に基づいて座標値の修正も行われます。トポロジが構築されていないポリゴン カバレッジとリージョン カバレッジについては、カバレッジと該当するフィーチャクラスの両方のアイコンに赤の警告が表示されます。
ファジー許容値は [クリーン (Clean)] ツールで使用されます。この値は、[クリーン (Clean)] ツールがフィーチャを移動したり、重複したノードを削除したり、ラインの交差する場所にノードを作成したり、重複したフィーチャを削除したりするための距離です。ファジー許容値は、カバレッジ単位で計測されます。[クリーン (Clean)] ツールを使用する際には、必要なフィーチャが誤って削除されないように、適切なファジー許容値を割り当てることが重要になります。