Standard または Advancedのライセンスで利用可能。
ST_Raster は、ラスター データを直接ジオデータベース テーブルに保存できるようにするデータ タイプです。SQL を使用してジオデータベースのラスター データにアクセスする必要がある場合、ST_Raster タイプを使用します。
ST_Raster タイプを使用するには、次の手順に従います。
- SQL Server インスタンスを構成します。
- ST_Raster をインストールして、データベース内にそのタイプが存在することを確認します。
- ユーザーが ST_Raster データを作成できるように、ジオデータベースの構成を変更します。
SQL Server インスタンスの構成
- SQL Server リモート ホスト コンピューターにログインします。
- SQL Server コンピューター上に、ST_Raster ライブラリを格納するフォルダーを作成します。
SQL Server がこのフォルダーにアクセスできることを確認します。
- システムの PATH にこのフォルダーの絶対パスを追加します。
- libst_raster_sql.dll ファイルと createAssembly.sql ファイルを手順 2 で作成した SQL Server のフォルダーに貼り付けます。
- SQL Server コンピューターの MS-DOS プロンプトから、前の手順でコピーした createAssembly.sql ファイルの場所に移動し、sqlcmd を実行してそれを起動します。
アセンブリは sysadmin ユーザーで作成する必要があります。
以下に、このスクリプトを実行する構文を示します。
sqlcmd -E -S <SQL Server instance> -d <database name> -v st_raster_path="<full path to folder created in step 3>\libst_raster_sql.dll" -v admindb=<database name> -i createAssembly.sql
以下に例を示します。
sqlcmd -E -S instance1 -d ssgdb -v st_raster_path="c:\mygdblibraries\libst_raster_sql.dll" -v admindb=ssgdb -i createAssembly.sql
sqlcmd ユーティリティとその使用方法の詳細については、Microsoft SQL Server のドキュメントをご参照ください。
SQL Server インスタンスを構成したら、ST_Raster のインストールとジオデータベース構成の変更に進みます。
ST_Raster のインストール
ArcGIS Desktop (Standard または Advanced) から [ラスター タイプの作成 (Create Raster Type)] ツールを実行するか、ArcGIS Server または ArcGIS Desktop (Standard または Advanced) クライアントから Python スクリプトを実行して、ST_Raster タイプをインストールできます。
ラスター タイプの作成 (Create Raster Type)ツールの実行
ArcGIS Desktop (Standard または Advanced) へのアクセス権を持っている場合は、[ラスター タイプの作成 (Create Raster Type)] ツールを実行して ST_Raster タイプをインストールできます。
- ArcGIS Desktop クライアントを起動します。
- ジオデータベース管理者としてジオデータベースに接続します。
- [ラスター タイプの作成 (Create Raster Type)] ツールを開きます。
このツールは [データ管理] ツールボックスの [ジオデータベース管理] ツールセットにあります。
- ステップ 2 で作成したデータベース接続を [入力データベース接続] に指定します。
- [OK] (ArcMap) または [実行] (ArcGIS Pro) をクリックします。
Python の使用
Python スクリプトを実行して、ジオデータベース管理者としてジオデータベースに接続するデータベース接続 (*.sde) ファイルを作成し、ST_Raster タイプをジオデータベースにインストールすることができます。
- コマンド ウィンドウを開き、ArcPy モジュールをインポートし、CreateDatabaseConnection_management 関数を使用して、ジオデータベース管理者としてジオデータベースに接続するデータベース接続 (*.sde) ファイルを作成します。データベース認証を使用して接続する場合は、必ず、接続ファイルとともにユーザー名とパスワードを保存するようにしてください。
この例では、接続ファイル (adminconnect.sde) を C:\temp に作成します。sde ユーザーとして teamdata SQL Server インスタンス上の projects ジオデータベースへの接続が確立されます。
import arcpy arcpy.CreateDatabaseConnection_management (r'c:/temp',"adminconnect.sde", "SQL_SERVER", "teamdata", "DATABASE_AUTH", "sde", "Cky00r", "SAVE_USERNAME", "projects")
- ST_Raster タイプをインストールします。
ここで、ジオデータベースに接続し、ST_Raster タイプをインストールするために adminconnect.sde ファイルが CreateRasterType_management 関数で使用されます。
arcpy.CreateRasterType_management (r'c:/temp/adminconnect.sde')
インストールの確認
SQL Server Management Studio を使用して、ST_Raster をインストールしたデータベースへのアクセス権限を持つユーザーとして接続し、そのデータベースに対して以下の SELECT ステートメントを実行して、ST_Raster タイプが正しくインストールされているか確認します。
SELECT <dbo or sde>.st_raster_util_getVersion();
このクエリでは 1,000 以上の値が返されます。
ST_Raster がインストールされていることを確認したら、コンフィグレーション キーワード設定を変更します。
ジオデータベース構成の変更
ST_Raster をジオデータベースにインストールしたら、ユーザーがラスター データセットおよびラスター カタログを作成するときに ST_Raster を使用できるようにするためにジオデータベース構成を変更する必要があります。この処理を実施するには、ArcGIS Desktop (Standard または Advanced) から接続してジオプロセシング ツールを実行するか、ArcGIS Server または ArcGIS Desktop (Standard または Advanced) クライアントからの Python スクリプトの実行を利用できます。
ジオプロセシング ツールの実行
ArcGIS Desktop へのアクセス権を持っている場合は、[ジオデータベース コンフィグレーション キーワードのエクスポート (Export Geodatabase Configuration Keyword)] ツールを使用してジオデータベースの現在の構成設定をテキスト ファイルにエクスポートし、そのテキスト ファイルで RASTER_STORAGE パラメーターを ST_Raster に設定して、変更したそのテキスト ファイルを [ジオデータベース コンフィグレーション キーワードのインポート (Import Geodatabase Configuration Keyword)] ツールを使用してインポートできます。
- ArcGIS Desktop で [ジオデータベース コンフィグレーション キーワードのエクスポート (Export Geodatabase Configuration Keyword)] ツールを開きます。
- ST_Raster をインストールするために作成したデータベース接続を [入力データベース接続] として使用します。
- 作成するテキスト ファイルの場所とファイル名を指定します。
- テキスト エディターでテキスト ファイルを開き、RASTER_STORAGE を ST_Raster に設定します。
- ユーザーがキーワードを指定する必要なく、すべてのラスター データセットおよびラスター カタログで ST_Raster タイプを使用したい場合は、DEFAULTS キーワードの RASTER_STORAGE パラメーターを変更します。
- 一部のラスター データセットおよびラスター カタログだけで ST_Raster タイプを使用する必要がある場合は、カスタム キーワードを作成し、そのキーワードの RASTER_STORAGE パラメーターを ST_Raster に設定します。
- テキスト ファイルを保存して閉じます。
- 変更したテキスト ファイルを、[ジオデータベース コンフィグレーション キーワードのインポート (Import Geodatabase Configuration Keyword)] ツールを使用してジオデータベースにインポートします。
Python の使用
ArcPy 関数 ExportGeodatabsaeConfigurationKeyword_management を使用して、現在のジオデータベース構成設定をテキスト ファイルにエクスポートし、そのテキスト ファイルを編集して保存してから、ImportGeodatabaseConfigurationKeyword_management 関数を使用して変更をジオデータベースにインポートします。
ST_Raster をインストールしたときに作成したデータベース接続ファイルを、ExportGeodatabsaeConfigurationKeyword_management 関数と ImportGeodatabaseConfigurationKeyword_management 関数の両方を実行するときの input_database に使用します。
- 現在のジオデータベースの構成をエクスポートします。
この例では、gdbconfig ファイルが C:\temp フォルダーにエクスポートされます。
arcpy.ExportGeodatabaseConfigurationKeyword_management (r'c:/temp/adminconnect.sde', r'c:/temp/gdbconfig.txt')
- テキスト エディターでテキスト ファイルを開き、RASTER_STORAGE を ST_Raster に設定します。
- ユーザーがキーワードを指定する必要なく、すべてのラスター データセットおよびラスター カタログで ST_Raster タイプを使用したい場合は、DEFAULTS キーワードの RASTER_STORAGE パラメーターを変更します。
- 一部のラスター データセットおよびラスター カタログだけで ST_Raster タイプを使用する必要がある場合は、カスタム キーワードを作成し、そのキーワードの RASTER_STORAGE パラメーターを ST_Raster に設定します。
- テキスト ファイルを保存して閉じます。
- 編集済みのファイルをインポートします。
arcpy.ImportGeodatabaseConfigurationKeyword_management (r'c:/temp/adminconnect.sde', r'c:/temp/gdbconfig.txt')
これで、データを作成するときに新しい構成設定を使用できるようになりました。