Spatial Analyst のライセンスで利用可能。
サマリー
サーフェス ラスターの窪地を平滑化して、データの小さな欠陥を取り除きます。
図
使用法
窪地とは、排水方向が定義されないセルです。窪地のセルより低いセルは、周囲に存在しません。流出点は、窪地の流出寄与域の標高が最も低い境界セルです。窪地が浸水した場合、ここが水の流出するポイントになります。
Z 制限は、シンクの深さと流出点の間で許容される最大差異を指定し、平滑化するシンクと変更しないシンクを決定します。Z 制限は、窪地の平滑化に使用する深さの最大値ではありません。
たとえば、流出点が標高 210 フィートで、シンク内の最深ポイントが 204 フィート (6 フィート差) のシンク エリアがあるとします。Z 制限を 8 に設定した場合、この特定のシンクは平滑化されます。しかし、Z 制限を 4 に設定した場合、このシンクの深さはこの差異を上回り、有効なシンクと見なされないため、このシンクは平滑化されません。
Z 制限より小さく (浅く)、隣接する最も低いセルより低い窪地はすべて流出点の高さまで平滑化されます。
[サーフェスの平滑化 (Fill)] ツールを実行すると、メモリ、CPU、およびディスクに負荷がかかります。入力ラスターと比較して、最大で 4 倍のディスク容量が必要になる場合があります。
Z 制限を持つ窪地の数は、処理時間の長さを決定します。窪地が多いほど処理時間が長くなります。
[サーフェスの平滑化 (Fill)] ツールを使用する前に [窪地の抽出 (Sink)] ツールを使用すると、窪地の数とその深さがわかります。窪地の深さがわかると、適切な Z 制限の値を決定しやすくなります。
[サーフェスの平滑化 (Fill)] を使用して、ピークを取り除くこともできます。ピークとは、隣接するどのセルよりも高いセルです。ピークを取り除くには、入力サーフェス ラスターを反転する必要があります。これには、[Minus] ツールを使用します。[Minus] の最初の入力としてサーフェス ラスターの最高値、2 番目の入力としてサーフェス ラスターを指定します。そして、[サーフェスの平滑化 (Fill)] を実行します。結果を反転すると、ピークが取り除かれた元のサーフェス ラスター値を持つサーフェスが得られます。Z 制限は、このプロセスにも適用できます。Z 制限に何も指定されていない場合、すべてのピークが取り除かれます。Z 制限値が指定されていて、ピークと隣接する最も高いセルの Z 値の差が Z 制限より大きい場合、そのピークは取り除かれません。
このツールは、並列処理をサポートしています。お使いのコンピューターに、複数のプロセッサや、複数のコアを持つプロセッサが搭載されている場合は、特に対象となるデータセットが大きいときにパフォーマンスが向上します。「Spatial Analyst による並列処理」ヘルプ トピックには、この機能と設定方法の詳細が記載されています。
並列処理を使用する場合、処理中のデータ チャンクを処理するために一時データが書き込まれます。デフォルトの一時フォルダーの場所は、ローカルの C ドライブ上です。このフォルダーの場所は、TempFolders という名前のシステム環境変数を設定し、使用するフォルダーへのパスを指定することで変更できます (例: E:\RasterCache)。コンピューター上で管理権限を持っている場合は、レジストリ キー (例: [HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\ESRI\Desktop10.6\Raster]) を使用することもできます。
デフォルトでは、このツールは使用可能なコアの 50% を使うようになっています。入力データのサイズが 5,000 セル x 5,000 セルよりも小さい場合、使用されるコア数はそれよりも少なくなります。並列処理ファクター環境で、ツールが使用するコアの数を制御できます。
このツールに適用されるジオプロセシング環境の詳細については、「解析環境と Spatial Analyst」をご参照ください。
構文
Fill (in_surface_raster, {z_limit})
パラメーター | 説明 | データ タイプ |
in_surface_raster | 連続サーフェスを表す入力ラスター。 | Raster Layer |
z_limit (オプション) | 平滑化される窪地と流出点間の最大標高差。 窪地と流出点の Z 値の差が Z 制限 より大きい場合、その窪地は平滑化されません。 Z 制限の値は、ゼロより大きくなければなりません。 このパラメーターに値が指定されていない場合、すべてのシンクは深さに関係なく平滑化されます。 | Double |
戻り値
名前 | 説明 | データ タイプ |
out_surface_raster | 窪地を平滑化した後の出力サーフェス ラスター。 サーフェス ラスターが整数である場合、平坦化された出力ラスターは整数型になります。入力が浮動小数点値である場合、出力ラスターも浮動小数点値になります。 | Raster |
コードのサンプル
Fill (サーフェスの平滑化) の例 1 (Python ウィンドウ)
次の例では、入力標高サーフェス Grid ラスターの窪地を平滑化しています。
import arcpy
from arcpy import env
from arcpy.sa import *
env.workspace = "C:/sapyexamples/data"
outFill = Fill("elevation")
outFill.save("C:/sapyexamples/output/outfill01")
Fill (サーフェスの平滑化) の例 2 (スタンドアロン スクリプト)
次の例では、入力標高サーフェス Grid ラスターの窪地を Z 制限を適用して平滑化しています。
# Name: Fill_Ex_02.py
# Description: Fills sinks in a surface raster.
# Requirements: Spatial Analyst Extension
# Import system modules
import arcpy
from arcpy import env
from arcpy.sa import *
# Set environment settings
env.workspace = "C:/sapyexamples/data"
# Set local variables
inSurfaceRaster = "elevation"
zLimit = 3.28
# Check out the ArcGIS Spatial Analyst extension license
arcpy.CheckOutExtension("Spatial")
# Execute FlowDirection
outFill = Fill(inSurfaceRaster, zLimit)
# Save the output
outFill.save("C:/sapyexamples/output/outfill02")
環境
ライセンス情報
- ArcGIS Desktop Basic: 次のものが必要 Spatial Analyst
- ArcGIS Desktop Standard: 次のものが必要 Spatial Analyst
- ArcGIS Desktop Advanced: 次のものが必要 Spatial Analyst