ArcMap 10.8 から 10.8.2 では、マッピング、ジオプロセシング、公開、データ管理に新機能が導入されています。
修正された不具合の詳細については、「10.8 で修正された問題点のリスト」、「10.8.1 で修正された問題点のリスト」、および「10.8.2 で修正された問題点のリスト」をご参照ください。
一般 (10.8.2)
ArcGIS Server 10.9.1 は、ArcGIS Desktop、ArcReader、および ArcGIS Engine 10.8.2 クライアントと同じコンピューター上にインストールできます。
ジオプロセシング (10.8)
ArcMap 10.8 では、ジオプロセシング ツールで新たに追加または改善された次の機能を使用できます。
カートグラフィ ツールボックス
10.8 に、以下の新機能が追加されました。
- [カートグラフィック パーティションの作成 (Create Cartographic Partitions)] ツールで、(これまで使用されていた方法であるフィーチャ数に加えて) 頂点数に基づいてデータをパーティション化できるようになりました。 [パーティション方法] パラメーターを [頂点] に設定すると、フィーチャの数ではなく、頂点の数と密度によってパーティションが決定されます。 この方法は、入力データに比較的少数の複雑なフィーチャ (高解像度の国ポリゴンなど) が含まれている場合や長いフィーチャが複数のパーティション境界 (等高線など) と交差することが多い場合に使用します。
- [建物ポリゴンの単純化 (Simplify Building)] ツールに [入力バリア レイヤー] というパラメーターが新しく追加されました。 このパラメーターは、単純化されたラインと交差してはならないフィーチャが含まれている 1 つ以上のレイヤーを識別する場合に使用します。 バリア フィーチャには、ポイント、ライン、ポリゴンのいずれかを指定できます。
- [ラインのスムージング (Smooth Line)] ツールと [ポリゴンのスムージング (Smooth Polygon)] ツールに、これらのツールのユーザー インターフェイスでこれまで非表示にされていた [トポロジ エラーの処理] パラメーターが表示されるようになりました。 このパラメーターには、処理によって生成される可能性のあるトポロジ エラーの対処方法を指定します。 以前は、このパラメーターはレガシーの互換性に対するスクリプトを作成しないと使用可能にならず、無視されていました。 今回のリリースではこのパラメーターが完全に機能するようになり、エラーのフラグ付けだけでなくエラーの解決に対しても新しい第 3 のオプションとなっています。
Spatial Analyst ツールボックス
ArcMap 10.8 の [距離] ツールセットで、[コスト パス (Cost Path)] ツールと [コスト パス (ポリライン) (Cost Path As Polyline)] ツールが更新され、[バックリンク ラスターのフロー方向の強制処理] という新しいパラメーターが追加されました。 このパラメーターをオンにすると、ツールが入力バックリンク ラスターを流向ラスターとして強制的に処理します。 流向ラスターには、0 ~ 255 の整数を指定します。
データ (10.8、10.8.1、および 10.8.2)
ArcMap 10.8、10.8.1、10.8.2 のデータ管理では次の機能変更が行われました。
公開
10.8 では、マップを作成してフィーチャ サービスを公開するとき、定義したフィールドの順序が、GIS Server にフィーチャ サービスを公開する際に維持されるようになりました。
データベースとジオデータベース
10.8 ではデータベースおよびジオデータベースのサポートが次のように変更されました。
- ArcGIS で Oracle 19c がサポートされるようになりました。
- ArcGIS 10.8 で IBM Db2 V12 for z/OS のサポートが追加されました。
- My Esri からダウンロードするデスクトップおよびワークグループ データベース サーバーのセットアップ ファイルに Microsoft SQL Server 2017 Express が含まれるようになりました。 これは 64 ビット インストールです。ArcGIS は SQL Server Express の 32 ビット インストールをサポートしなくなりました。 32 ビットの SQL Server Express インスタンスがまだある場合、データベースをデタッチしてからアタッチするか、データベースをバックアップおよび復元して、32 ビットの SQL Server Express インスタンスのデータベース サーバーから 64 ビットの SQL Server Express インスタンスのデータベース サーバーにジオデータベースを移動できます。
10.8.1 で次のデータベースのサポートが追加されました。
- PostgreSQL 12.2 および PostGIS 3.0.1 がサポートされます。
- SQLite 3.31.1 がサポートされます。
- IBM Db2 11.5 がサポートされます。
- Dameng 8.1.0.147 がサポートされます。
- Amazon Relational Database Service (RDS) for Oracle は、Amazon RDS インスタンスと同じ Amazon Web Services リージョンで動作しているクライアントからデータベース サービスに接続している場合にサポートされます。
10.8.1 の新しい SQL 関数 ST_Perimeter を使用して、Oracle、PostgreSQL、または SQLite データベース内の ST_Geometry フィーチャクラスのポリゴンまたはマルチポリゴンの周長を調べることができます。
ArcGIS Desktop 10.8.2 以降、Oracle でユーザースキーマ ジオデータベースをアップグレードできなくなりました。 sde スキーマ ジオデータベースをアップグレードするには、前もってユーザースキーマ ジオデータベースのコンテンツをデータベースから移動し、データベースからユーザースキーマ ジオデータベースを削除する必要があります。
マッピング (10.8、10.8.1、10.8.2)
10.8 ではマップ投影が次のように変更されました。
- 投影法を定義しないでデータをプロジェクトに追加するときに、不明な座標系の警告メッセージが表示されるようになりました。 同様に、データがマップまたはシーンの地理座標系に自動的に変換されるときは、常に変換警告メッセージが表示されるようになりました。
次の 3 つの新しい地図投影法が追加されました。
アダムス図法 (第 2 図法) は、世界を正方形で表現します。 これは、正方形の四隅を除いて正角図法です。 この投影法は、1925 年に Oscar S. Adams によって開発されました。 氏が作成した元の設計でマップを投影すると、赤道と中心子午線が正方形の対角線としてひし形の向きに表示されます。 Esri でのこの図法の実装は、WGS 1984 などの楕円上で、その正角を適切に維持します。
また、アダムス図法 (第 2 図法) は、Spilhaus 氏の世界海洋地図とほぼ同じ形式に構成できます。
トブラー図法 (第 1 図法) とトブラー図法 (第 2 図法) は、2 つの折衷円筒図法です。 これらの図法は、ミラー図法の代わりとなる投影法として 1997 年に Waldo Tobler が考案しました。 これらの投影法は、Waldo Tobler の業績を称えて 100 および 101 番目の地図投影アルゴリズムとして ArcGIS に実装されました。
- ArcGIS でサポートされているすべての地図投影のヘルプ トピックが追加されました。 サポートされている地図投影のリストをご参照ください。 リンクをクリックすると、それぞれのトピックが開きます。
- 10.8.1 で投射円筒図法が追加されました。 この円筒図法では、指定の子午線の反対にある赤道面上の点から正接 (または正割) の円筒上に地球を投影することで幾何学的に構築することができます。
- 10.8.1 では、ランベルト正角円錐図法に 2 つの新しいバリアントが追加されました。
- ランベルト正角円錐図法 1SP バリアントでは、1 本の標準緯線と縮尺係数を使用した定義のみがサポートされていますが、ランベルト正角円錐図法バリアントと同じアルゴリズムが使用されます。
- ランベルト正角円錐図法 2SP バリアントでは、2 本の標準緯線を使用した定義のみがサポートされていますが、ランベルト正角円錐図法バリアントと同じアルゴリズムが使用されます。
- 正方形図法は、10.8.2 以降、この投影法の斜軸のバリアントをサポートします。