GIS の最も基本的な質問の 1 つは、「何が何の上にあるか」です。例を次に示します。
- どのような土壌タイプの上にどのような土地利用があるか
- 100 年の氾濫原内にどのような土地区画があるか (「内」は「上」の別表現)
- どの郡にどのような道路があるか
- 軍用基地の跡地にどのような井戸があるか
GIS が開発されるまでは、このような質問に答えるために、地図製作者が透明なプラスチック シートの上にマップを作成し、これらのシートをライト テーブルの上で重ねて、オーバーレイされたデータから新しいマップを作成していました。オーバーレイからこのような貴重な情報が得られることから、GIS の開発が至上命題となりました。
オーバーレイは単なる線画の重ね合わせではなく、オーバーレイの一部となるフィーチャの属性はすべて適用されます。たとえば、次の例では、土地区画 (ポリゴン) と洪水危険区域 (ポリゴン) が ([ユニオン] ツールを使用して) オーバーレイされて、新しいポリゴン データセットを作成します。土地区画は洪水危険区域と交差する場所で分割され、新しいポリゴンが作成されます。FID_flood 値はポリゴンが洪水危険区域の外側 (-1) かどうかを示しており、すべてのポリゴンが元の土地利用カテゴリ値を維持しています。
土地利用タイプごとの洪水危険区域の合計面積は、洪水危険区域内のすべてのポリゴンを (たとえば、[属性検索 (Select Layer By Attribute)] ツールを使用して) 選択し、([頻度 (Frequency)] ツールを使用して) 土地利用タイプの比率で面積を集約することで計算できます。次に、この計算の結果をグラフで示します。
同様に、分水界を植生レイヤーの上に重ねて、各分水界にある各植生タイプの量を計算することもできます。
次の図では、伐採道路 (ライン) と植生タイプ (ポリゴン) がオーバーレイされ、新しいライン フィーチャクラスが作成されています。ラインはポリゴンと交差する場所で分割され、各ライン フィーチャに元のレイヤーの属性が割り当てられています。ラインはそれらに関連付けられた植生タイプによってシンボル表示されています。
オーバーレイ解析を使用して、複数のデータセットの特性を 1 つにまとめることができます。そして、特定の属性値を持つ (つまり、指定した条件を満たす) 場所またはエリアを検索することができます。この方法は、特定の用途に適した場所や何らかのリスクを受けやすい場所を検索するためによく使用されます。たとえば、植生タイプ、傾斜角、傾斜方向、土壌水分などのレイヤーをオーバーレイして、山火事が発生しやすい地域を検索することができます。
次に示す例は、急傾斜、土壌、植生のオーバーレイです。入力ポリゴンの境界の交差から、新しいポリゴンが作成されています。結果として得られるポリゴンは、元のポリゴンの属性をすべて備えています。
オーバーレイ解析は、他の種類の解析との組み合わせでよく使用されます。たとえば、([バッファー (Buffer)] ツールのような) 近接解析、または ([傾斜角 (Slope)] または [傾斜方向 (Aspect)] ツールのような) サーフェス解析から取得したデータセットを含めるかもしれません。同様に、オーバーレイの結果に対して、フィーチャのサブセットを選択するための抽出や (ポリゴンをディゾルブするための) ジェネラライズなどの解析を実行することもできます。多くの場合、オーバーレイは解析プロセスや解析モデルの 1 つのステップであり、プロセスのさまざまなポイントで実行されます。
オーバーレイの方法
一般に、オーバーレイ解析の実行には、フィーチャ オーバーレイ (ポイント、ライン、ポリゴンのオーバーレイ) とラスター オーバーレイの 2 つの方法があります。一部のオーバーレイ解析は、これらの方法のどちらかに適しています。特定の条件を満たす場所を検索するためのオーバーレイ解析は、多くの場合、ラスター オーバーレイを使って実行するのが最も効果的です (ただし、フィーチャ データでも実行できます)。当然ながら、これはデータがすでにフィーチャまたはラスターとして格納されているかどうかにも依存します。解析を実行するためにデータを別の形式に変換するとよい場合もあります。
フィーチャ オーバーレイ
フィーチャ オーバーレイの重要な要素は、入力レイヤー、オーバーレイ レイヤー、出力レイヤーです。オーバーレイ関数は、入力レイヤーのフィーチャを、オーバーレイ レイヤーのフィーチャとオーバーラップする場所で分割します。ポリゴンが交差する場所に新しいエリアが作成されます。入力レイヤーにラインが含まれている場合、それらのラインはポリゴンと交差する場所で分割されます。これらの新しいフィーチャは出力レイヤーに格納され、元の入力レイヤーは変更されません。オーバーレイ レイヤーのフィーチャの属性は、入力レイヤーの元の属性とともに、出力レイヤーの該当する新しいフィーチャに割り当てられます。
次に示すのは、ラインをポリゴン上にオーバーレイした例です。ラインはポリゴンの境界で分割され、結果として得られたライン フィーチャには、元の属性に加えて、ラインが含まれているポリゴンの属性が割り当てられます。
ラスター オーバーレイ
ラスター オーバーレイでは、各レイヤーの各セルが同じ地理位置を参照します。これは、複数のレイヤーの特性を 1 つのレイヤーに結合するのに適しています。通常は、各特性に数値が割り当てられます。これにより、レイヤーを数学的に結合し、出力レイヤーの各セルに新しい値を割り当てることができます。
次に示すのは、加算によるラスター オーバーレイの例です。2 つの入力ラスターを足し合わせて出力ラスターを作成し、各セルに合計値を設定します。
この方法は、適性またはリスクによって属性値をランク付けした後、それらを足し合わせて、各セルに全体的なランクを設定するためによく使用されます。さまざまなレイヤーに相対的な重要度を割り当てて、重み付けされたランキングを作成することができます (各レイヤーのランクにそのレイヤーのウェイト値を掛けてから、他のレイヤーと合計します)。
次に示すのは、加算によるラスターオーバーレイに基づいた適性モデルの例です。3 つのラスター レイヤー (急傾斜、土壌、植生) を開発適性に応じて 1 ~ 7 の範囲でランク付けします。レイヤーを足し合わせると、各セルが 3 ~ 21 の範囲でランク付けされます。
あるいは、複数の入力レイヤーからの値の一意な組み合わせに基づいて、出力レイヤーの各セルに値を割り当てることもできます。
オーバーレイ ツール
ベクター オーバーレイ ツール
フィーチャ オーバーレイ ツールは、[オーバーレイ] ツールセット内の[解析] ツールボックス内に配置されています。概念的には、これらのツールは似ています。それらの違いは、オーバーレイできるフィーチャ タイプ、複数のレイヤーを一度にオーバーレイできるかどうか、出力レイヤーで維持される入力フィーチャとオーバーレイ フィーチャにあります。
ツール | 1 対 1 (Binary) または複数 (Multiple) のオーバーレイ | 入力データ タイプ | オーバーレイ データ タイプ | 出力 |
---|---|---|---|---|
1 対 1 | 任意 | ポリゴンまたは入力情報と同様 | オーバーレイ フィーチャによって分割された入力フィーチャ | |
複数 | 任意 | なし | すべての入力レイヤーに共通するフィーチャのみ | |
1 対 1 | 任意 | 入力と同様 | 入力レイヤーまたはオーバーレイ レイヤーのどちらかに共通するフィーチャ | |
複数 | ポリゴン | なし | すべての入力フィーチャ | |
1 対 1 | 任意 | ポリゴン | アップデート レイヤーによって置き換えられた入力フィーチャ ジオメトリ |
次の表は、各ツールを使って入力データセットとオーバーレイ データセットをオーバーレイした結果を示しています。
入力フィーチャ | オーバーレイ フィーチャ | 操作 | 結果 |
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ラスター オーバーレイ ツール
ラスター オーバーレイ ツールは、[Spatial Analyst] ツールボックスのいくつかのツールセットに置かれています。Spatial Analyst は、別個にライセンスされる ArcGIS エクステンションです。Spatial Analyst ライセンスを取得していて、Spatial Analyst Extension がインストールされている場合は、ArcToolbox の [Spatial Analyst] ツールボックスにアクセスできます。
ツール | 場所 | 機能 |
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ラスター レイヤーの値を別のレイヤーのゾーン (カテゴリ) で合計する。たとえば、各植生カテゴリの平均標高を計算する。 | ||
複数の入力レイヤーからの値の一意な組み合わせに基づいて、出力レイヤーの各セルに値を割り当てる。 | ||
ラスター オーバーレイ プロセスを自動化し、各レイヤーにウェイトを割り当ててから加算できるようにする (重み付けされていないレイヤーを作成するために均一の影響度を指定することもできる)。 | ||
複数のラスターにそれらのウェイトを掛けてから合計することによるオーバーレイ。 |