概要
陰影起伏関数は、テレイン サーフェスをグレースケール 3D 表現で生成し、太陽の相対位置を考慮して画像を陰影処理します。陰影起伏は、光源と標高サーフェスの傾斜角および傾斜方向によって決定されたテレインを視覚化する方法です。地形図を視覚化するための定性的な方法であるため、絶対標高値はありません。この関数には、[一つの光源方向] と [複数の光源方向] という陰影起伏を生成する 2 つのオプションがあります。[一つの光源方向] 陰影起伏方法では、光源高度および光源方位プロパティを使用して太陽の位置を指定し、1 つの光源方向から陰影起伏を計算します。[複数の光源方向] 陰影起伏方法では、複数の光源を組み合わせて陰影テレインを表現します。[複数の光源方向] 陰影起伏方法の利点は、[一つの光源方向] 陰影起伏方法を使用した場合よりも、過剰彩度と濃い影の影響を受ける領域がさらに細かく表示される点です。
デフォルトでは、グレースケールのカラー ランプを使用して陰影起伏標高モデルが表示されます。次に示す最初の図は [一つの光源方向] 陰影起伏方法 (デフォルト) による標高モデルであり、2 つ目の図は [複数の光源方向] 陰影起伏方法による標高モデルです。
パラメーター
陰影起伏関数のパラメーターを次に示します。
パラメーター | 説明 |
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ラスター | 入力標高データセット。 |
陰影起伏タイプ | 陰影起伏の光源を制御します。
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方位角 | 光源方位は、水平線に沿った太陽の相対的な位置です (単位は度)。この位置は、真北から時計回りに計測した太陽の角度で示されます。光源方位 0 度は北を示し、東が 90 度、南が 180 度、西が 270 度です。 このパラメーターは [陰影起伏タイプ] が [一つの光源方向] の場合にのみ有効です。デフォルトは、北西から 315 度です。 |
光源方位 | 光源高度は、水平線からの太陽の仰角であり、範囲は 0 ~ 90 度です。0 度は太陽が水平線上、つまりリファレンスのフレームと同じ水平面上にあることを示します。90 度は、太陽が真上にあることを示します。 このパラメーターは [陰影起伏タイプ] が [一つの光源方向] の場合にのみ有効です。デフォルトは水平線上 45 度です。 |
スケーリング | 陰影起伏の結果は、次の 2 つのオプションのいずれかを使用して Z 係数を調整することにより、動的にスケーリングされます。
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Z 係数 | Z 係数は、高さの値を変換する際に使用される縮尺係数です。次の 2 つの目的に使用されます。
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ピクセル サイズ乗数 | [ピクセル サイズ乗数] は、ビューアーでマップ表示を拡大および縮小したときの光源高度の変化 (または縮尺) に対応します。これは、起伏の大規模な損失を回避するために、[Z 係数] の変化率を調整する式のピクセル サイズの項に適用される指数です。 このパラメーターは [スケーリング] タイプが [調整済み] の場合にのみ有効です。デフォルト値は 0.664 です。 |
ピクセル サイズ係数 | [ピクセル サイズ係数] は、ビューアーでマップ表示を拡大/縮小する際の縮尺の変化に対応します。これは、[Z 係数] の変化率を調整します。 このパラメーターは [スケーリング] タイプが [調整済み] の場合にのみ有効です。デフォルト値は 0.024 です。 |
デフォルトのエッジ ピクセルの内挿を無効化 | このオプションを使用すると、ラスターのエッジに沿って生じる可能性のあるリサンプリング アーティファクトがすべて除去されます。ラスターのエッジに沿った出力ピクセルまたは NoData ピクセルに隣接する出力ピクセルには、NoData が設定されます。したがって、標高モザイク データセットが重なり合っている場合にのみ、このパラメーターを使用することをお勧めします。重なり合ったピクセルがある場合、NoData の領域には、空白のピクセルではなく、重なり合ったピクセル値が表示されます。
この関数の実行結果はデータに左右される場合があります。タイル境界のアーチファクトが出力に含まれている場合は、チェックボックスのオン/オフを切り替えてください。 |
陰影起伏の操作方法の詳細
陰影起伏タイプ
[複数の光源方向] 陰影起伏方法を使用すると、テレインの視覚化を高めることができます。これは、方向の異なる 6 つの光源を組み合わせて、テレインの視覚化を強化し、起伏の少ない地域の表示を改善します。また、マップの露出過多と日照のない地域のバランスが改善されます。出力は、地形、土壌、水文、土地被覆、地形図が組み込まれたデータを含むその他の主題図の陰影起伏の背景として使用するのに適しています。
次の画像は、2 種類の陰影起伏を示しています。
- 上の画像は、[一つの光源方向] 陰影起伏方法の結果を示しています。
- 下の画像は、[複数の光源方向] 陰影起伏方法の結果を示しています。
複数方向の陰影起伏の詳細については、「複数の光源方向の陰影起伏による立体的なマップ」をご参照ください。
光源方位と光源高度
光源高度および光源方位のプロパティはともに、3D モデル (陰影起伏) の作成に使用される太陽の相対的な位置を示します。光源高度は、水平線からの太陽の仰角であり、範囲は 0 ~ 90 度です。0 度は太陽が水平線上、つまりリファレンスのフレームと同じ水平面上にあることを示します。90 度は、太陽が真上にあることを示します。
光源方位は、水平線に沿った太陽の相対的な位置です (単位は度)。この位置は、真北から時計回りに計測した太陽の角度で示されます。光源方位 0 度は北を示し、東が 90 度、南が 180 度、西が 270 度です。
縮尺とピクセル サイズ
陰影起伏の結果は、次の 2 つのオプションのいずれかを使用して Z 係数を調整することにより、動的にスケーリングされます。
- なし - スケーリングは適用されません。このオプションは、ローカル エリアを含む単一のラスター データセットにとって最適です。世界規模のデータセットや複数縮尺のマップに対してはお勧めしません。小さな縮尺では、起伏がほとんど平坦になるためです。
- 調整済み - デフォルトの [ピクセル サイズ累乗] と [ピクセル サイズ係数] の値を使用して、非線形調整を適用します。これにより、ビューアーの拡大表示および縮小表示に伴う光源高度の変更 (スケーリング) が反映されます。世界規模のデータセットを使用する場合は、これらの値をお勧めします。
次の式を使用して、Z 係数を調整します。
Adjusted Z-Factor = (Z Factor) + (Pixel Size)(ピクセル サイズ乗数) × (Pixel Size Factor)
傾斜角は、ピクセル サイズのファクターです。傾斜角は長い距離の平均傾斜角を表すため、ピクセルが大きいほど、傾斜角の値は小さくなります。その結果、小さな縮尺では、フィーチャは平坦に表示されます。カートグラフィ面で、これは陰影起伏の大きな損失になります。これを補うために、[Z 係数] パラメーターを縮尺に合わせて変更できます。この関係は、線形ではなく、指数関数です [ピクセル サイズ乗数] と [ピクセル サイズ係数] を変更すると、[Z 係数] の変化率が変化します。つまり、Z 係数を縮尺に合わせて設定する必要があります。
Z 係数
Z 係数は、高さの値を変換する際に使用される縮尺係数です。次の 2 つの目的に使用されます。
- 標高単位 (メートルまたはフィートなど) をデータセットの水平座標単位 (フィート、メートル、度など) に変換する
- 高さ強調を追加して視覚的効果を得る
単位変換
Z (標高) の単位が XY (距離) の単位と同じである場合、Z の変換係数は 1 になります。データセットで投影座標系が使用され、スケーリングが [なし] に設定されていて、標高と距離の単位が異なる場合は、これらの相違を考慮して Z 変換係数を定義する必要があります。
フィートからメートルへ、またはその逆へ変換するには、下の表をご参照ください。たとえば、DEM の標高単位がフィートであり、モザイク データセットの単位がメートルの場合、0.3048 を使用して標高単位をフィートからメートルへ変換します (1 フィート = 0.3048 メートル)。
縮尺とピクセル サイズ
変換タイプ | 変換係数 |
---|---|
フィート → メートル | 0.3048 |
メートル → フィート | 3.28084 |
データで地理座標系 (GCS_WGS 84 の DTED など) が使用されていて、距離単位が度、標高がメートルで表現されている場合は、変換係数として 1 を使用します。度単位の距離が、自動的にメートルに変換されます。標高の単位がメートルでない場合は、この関数を使用する前に単位変換関数を使用して、標高をメートルに変換します。
高さ強調
高さ強調を適用するには、変換係数に強調係数を掛ける必要があります。たとえば、標高とデータセットの座標がどちらもメートルであり、10 倍だけ強調したい場合、スケーリング係数は単位変換係数 (1.0) に垂直強調係数 (10.0) を掛けた値になり、Z 係数は 10 になります。標高の単位がメートルで、データセットが地理座標系 (度) である場合は、単位変換係数 (1.0) に強調係数 (10.0) を掛けた値になり、Z 係数は 10 になります。標高の単位がメートルでない場合は、この関数を使用する前に算術演算関数を使用して、標高をメートルに変換します。この後、単位変換係数 (1.0) に強調係数 (10.0) を掛けて値を求めます。Z 係数は 10 になります。
エッジ効果の除去
このオプションを使用すると、ラスターのエッジに沿って生じる可能性がある内挿に起因するノイズがすべて回避されます。ラスターのエッジに沿ったピクセル出力、または値のないピクセルに隣接する出力ピクセルには、NoData が設定されます。したがって、ピクセルが重なり合った他のラスターがある場合にのみ、このオプションを使用することをお勧めします。重なり合ったピクセルがある場合、これらの NoData の領域には、空白ではなく、重なり合ったピクセル値が表示されます。
- オフ - 共一次内挿リサンプリングが一様に適用され、陰影起伏がリサンプリングされます。これがデフォルトです。
- オン - ラスターのエッジに沿っている場合と NoData ピクセルに隣接している場合を除いて、共一次内挿リサンプリングが陰影起伏内で使用されます。これらのピクセルには NoData が設定され、重なり合ったデータセットの標高値が表示されるため、発生する可能性のある鋭いエッジ効果が軽減されます。