Numpy (Numerical Python) は Python で科学技術計算を実行するための基本パッケージであり、高度な N 次元配列オブジェクトをサポートしています。ArcGIS ソフトウェア 9.2 以降に追加されている NumPy を使用すれば、複雑な算術演算を実行できます。詳細については、NumPy の Web サイト をご参照ください。
Python NumPy 配列は、大きな配列を操作できるように設計されています。現在、NumPy 配列を処理するために作成された多数の Python 関数があります。Python の SciPy 科学計算パッケージに含まれます。
テーブルおよびフィーチャ データの操作
データ アクセス (arcpy.da) モジュールの関数を使用して、テーブルとフィーチャクラスを NumPy 配列に変換したり、NumPy 配列をテーブルとフィーチャクラスに変換したりできます。
NumPy 配列をテーブルとフィーチャクラスに変換するには、その配列が構造化配列であることが条件となります。構造化配列は、ArcGIS テーブルのフィールドやフィーチャクラスにデータをマッピングするためのフィールド (または構造体) で構成されます。構造化配列の詳細については、構造化配列 をご参照ください。
構造化された NumPy 配列を作成します。
import numpy
arr = numpy.array([(471316.383, 5000448.782), (470402.493, 5000049.216)],
numpy.dtype([('X', '>f8'),('Y', '>f8')]))
構造化 NumPy 配列を作成したら、それをフィーチャクラスまたはテーブルに変換できます。
NumPy 配列をジオデータベース フィーチャクラスに変換します。
import arcpy import numpy
out_fc = 'C:/data/texas.gdb/fd/pointlocations'
# Create a numpy array with an id field, and a field with a tuple
# of x,y coordinates arr = numpy.array([(1, (471316.3835861763, 5000448.782036674)), (2, (470402.49348005146, 5000049.216449278))], numpy.dtype([('idfield', numpy.int32),('XY', '<f8', 2)]))
# Define a spatial reference for the output feature class spatial_ref = arcpy.Describe('C:/data/texas.gdb/fd').spatialReference
# Export the numpy array to a feature class using the XY field to
# represent the output point feature arcpy.da.NumPyArrayToFeatureClass(arr, out_fc, ['XY'], spatial_ref)
テーブルとフィーチャ データを操作する arcpy.da 関数
関数 | 説明 |
---|---|
ExtendTable | 共通の属性フィールドに基づいて、NumPy 構造化配列の内容をテーブルに結合します。 |
FeatureClassToNumPyArray | フィーチャクラスを NumPy 構造化配列に変換します。 |
NumPyArrayToFeatureClass | NumPy 構造化配列をフィーチャクラスに変換します。 |
NumPyArrayToTable | NumPy 構造化配列をテーブルに変換します。 |
TableToNumPyArray | テーブルを NumPy 構造化配列に変換します。 |
NumPy 配列の整数フィールドでは null を使用できません。FeatureClassToNumPyArray または TableToNumPyArray を使用して変換したデータに null が含まれている場合、null を含む行全体がスキップされるか、null が代替値でマスキングされます。
null を含むすべてのレコードをスキップします。
arr = arcpy.da.FeatureClassToNumPyArray(fc, fields, skip_nulls=True)
辞書を使用し、整数フィールドの null を別の値でマスキングします。
fields = ['field1', 'field2'] arcpy.da.FeatureClassToNumPyArray(fc, fields, null_value=-9999)
タイプ変換
作成した配列の dtype は、入力テーブルまたはフィーチャクラスのフィールド タイプから決定されます。
フィールド タイプ | NumPy dtype |
---|---|
Single | numpy.float32 |
Double | numpy.float64 |
SmallInteger | numpy.int32 |
Integer | numpy.int32 |
OID | numpy.int32 |
GUID | <U64 |
String | <u1、<u10 など |
Date | <M8[us] |
ラスターや BLOB フィールドなど、上でリストされていないフィールド タイプはサポートされていません。ジオメトリ フィールドもサポートされていませんが、以下に示した特殊なトークンを使用して、複数のジオメトリ プロパティを配列に追加することができます。
トークン | 説明 |
---|---|
SHAPE@XY | フィーチャの重心を表す X 座標と Y 座標 |
SHAPE@TRUECENTROID | フィーチャの真の重心を表す X 座標と Y 座標 |
SHAPE@X | フィーチャの X 座標 |
SHAPE@Y | フィーチャの Y 座標 |
SHAPE@Z | フィーチャの Z 座標 |
SHAPE@M | フィーチャの M 値 |
SHAPE@AREA | フィーチャの面積 |
SHAPE@LENGTH | フィールドの長さ |
メモリの検討事項
使用可能なメモリより多くのメモリが必要な配列はエラーになり、MemoryError 例外が発生します。
MemoryError 例外を防ぐためのヒントを以下に示します。
- 使用後に配列オブジェクトを削除します。配列を削除すると、メモリが解放されます。
- 必要なフィールド、特にテキスト フィールドだけを使用します。配列に変換されたテキスト フィールドは、幅の各文字に 4 バイトを消費します。たとえば、幅 100 の文字列フィールドは、配列内の各値に 400 バイトのメモリを消費します。
NumPy dtype | 値あたりのバイト数 |
---|---|
<U1 | 4 |
numpy.int32 | 4 |
numpy.float32 | 4 |
numpy.float64 | 8 |
ラスターの操作
ArcPy 関数の RasterToNumPyArray および NumPyArrayToRaster を使用して、ラスターを NumPy 配列に変換したり、NumPy 配列をラスターに変換したりできます。次を実行する場合に、ArcGIS ラスターを NumPy 配列に変換します。
- 既存の多数の Python 関数の中で、NumPy 配列に適用する関数を実装する (たとえば、データに対してフィルターを実行する場合、多次元解析を行う場合、最適化ルーチンを使用する場合など)。
- NumPy 配列内の個々のセルにアクセスして、独自の関数を開発する (たとえば、近傍表記を実装する場合、個々のセル値を変更する場合、ラスター全体を対象に累積操作を実行する場合など)。
ラスターを操作する arcpy 関数
関数 | 説明 |
---|---|
RasterToNumPyArray | ラスターを NumPy 配列に変換します。 |
NumPyArrayToRaster | NumPy 配列をラスターに変換します。 |
ラスター行全体でのセル値のパーセンテージを計算するため、ラスターを NumPy 配列に変換します。その後で、新しいラスターを作成します。
import arcpy
import numpy
my_array = arcpy.RasterToNumPyArray('C:/data/inRaster')
my_array_sum = my_array.sum(1)
my_array_sum.shape = (my_array.shape[0], 1)
my_array_perc = (my_array * 1.0) / my_array_sum
new_raster = arcpy.NumPyArrayToRaster(my_array_perc)
new_raster.save("C:/output/fgdb.gdb/PercentRaster")