3D Analyst のライセンスで利用可能。
3D セット演算子とは
3D セット演算子は、ArcGIS で 3D フィーチャの幾何形状的な比較を可能にするジオプロセシング ツールのコレクションです。これらの演算子は、あるフィーチャが別のフィーチャ内部に配置されているかどうかのチェックなど、3D フィーチャ間のリレーションシップの調査および決定に使用できます。また、2 つの立方体を結合して 1 つの複雑なシェープにする場合など、入力フィーチャから派生フィーチャを作成するために使用することもできます。次の 6 つの 3D セット演算ツールがあります。
- ディファレンス 3D (Difference 3D) - 1 組のマルチパッチを別のマルチパッチの組から除去します。
- インサイド 3D (Inside 3D) - 閉じたマルチパッチ内にどのフィーチャがあるかを決定します。
- インターセクト 3D (Intersect 3D) - マルチパッチ フィーチャの交差を計算します。
- 3D ラインをマルチパッチでインターセクト (Intersect 3D Line With Multipatch) - 3D ラインとマルチパッチの間の交差ポイントを決定します。
- クローズド 3D (Is Closed 3D) - マルチパッチが閉じているかどうかを決定します。他のセット演算子内で使用できます。
- ユニオン 3D (Union 3D) - 閉じたマルチパッチを、重複する体積と結合して 1 つのフィーチャにします。
3D セット演算子の用途
これらのツールは、新規フィーチャの作成、既存のフィーチャに関する品質管理、および空間解析の実行で一般的に使用されます。次に、3D セット演算ツールの考えられる使用例をいくつか示します。
ディファレンス 3D (Difference 3D)
都市設計者が、提案された建物が作る影の影響を推定したいと考えています。設計者は、[スカイライン (Skyline)] ツールを使用して新しい建物の影の体積を生成し、次に、[ディファレンス 3D (Difference 3D)] を使用して、既存の建物が作る影をその結果から除去します。最終的な結果として、当該時刻における新しい影を表す体積が得られます。
インサイド 3D (Inside 3D)
施設管理者が、ポイントで表現される資産を 3D 建物モデル内に配置します。すべての資産を配置し終えたら、各資産が属する部屋を決定する必要があります。[インサイド 3D (Inside 3D)] ツールを使用して、各資産の ID と資産が属する部屋の ID を示す行から構成されるテーブルを生成します。
インターセクト 3D (Intersect 3D)
水質の専門家が、帯水層における汚染流域の影響を確認したいと考えています。専門家は、[インターセクト 3D (Intersect 3D)] を使用して、帯水層の一部であり、また汚水流域の範囲内でもある異なる地形を表すフィーチャのセットを生成します。
3D ラインをマルチパッチでインターセクト (Intersect 3D Line With Multipatch)
開発者は、提案された建物が既存の建物のビューにマイナスの影響を与えるかどうかを決定したいと考えています。周囲の建物から主要な対象ポイントまでの見通し線が生成されます。[3D ラインをマルチパッチでインターセクト] ツールを使用して、これらの見通し線と提案された建物が交差され、障害物が特定されます。
ユニオン 3D (Union 3D)
都市計画者は、都市内の建築物を表す、高さを持つ 1 組のポリゴンを受け取りました。計画者は、これらのポリゴンから建物のシェルを生成しなくてはなりません。これらのポリゴンは、立ち上げられてマルチパッチに変換され、次に [ユニオン 3D (Union 3D)] を使用して、建物ごとに 1 つのフィーチャに結合されます。
データ要件
一部の 3D セット演算子では、閉じたマルチパッチを有効に処理する必要があります。この理由は、それらのツールで、フィーチャと、マルチパッチが表す体積との間のリレーションシップが計算されるからです。
パフォーマンス
3D セット演算子の中には、プロセスへの負荷が集中するため、実行に長い時間がかかるものがあります。たとえば、[ディファレンス 3D (Difference 3D)] と [インターセクト 3D (Intersect 3D)] は、1 つの入力フィーチャクラス内のすべてのフィーチャを通じて、2 番目の入力フィーチャクラス内のフィーチャごとに 1 回ずつ処理を繰り返し実行する必要があります。反復処理のたびに、2 つのフィーチャが重なり合っているかどうかが決定され、それらのフィーチャの幾何学的な交差が計算され、新しい一意なフィーチャが書き込まれます。そのため、これらのツールでは、データのサイズや複雑性に関連して、どのフィーチャクラスを入力として使用するかを慎重に決定する必要があります。