説明
ユニバーサル横メルカトル(UTM)座標系は、横メルカトル図法を特殊化して応用したものです。地球は 60 の南北のゾーンに分割され、各ゾーンは経度で 6°単位の幅になります。各ゾーンには、それぞれ中央子午線があります。ゾーン 1N と 1S は 180°W から始まります。各ゾーンの範囲は、84°N から 80°S に限定されており、北と南のゾーンは赤道で分割されています。極地域では、Universal Polar Stereographic(UPS)図法が使用されます。
各ゾーンの原点は、中央子午線と赤道です。負の座標系をなくすには、原点の座標値を変更します。中央子午線に指定される値が False Easting、赤道に指定される値が False Northing です。False Easting には 500,000 メートルが設定されます。北ゾーンの False Northing にはゼロが設定され、南ゾーンの False Northing には 10,000,000 メートルが設定されます。
投影法
円筒図法。方法については、トピック「横メルカトル図法」をご参照ください。
接線
UTM ゾーンの中央子午線の両側約 180km の 2 本の平行線。
直線となる経緯線
中央子午線および赤道。
特性
形状
- 正角図法
- 小さい形状は正確に表現されます。
- ゾーン内では、大きい形状でも歪みは最小です。
面積
各 UTM ゾーン内では、歪みは最小です。
方向
局所的な角度は正確です。
距離
中央子午線上では縮尺は一定ですが、各ゾーン内の横方向の歪みを小さくするために、縮尺係数は 0.9996 となっています。この縮尺係数を使用すると、中央子午線の東側と西側に 180km の平行線上では、縮尺係数が 1 になります。
制限
各ゾーン内の縮尺の誤差が 0.1 パーセントを超えないように設計されています。複数の UTM ゾーンにまたがる地域では、誤差や歪みが大きくなります。UTM ゾーンは、経度から 20°を超えて広がる領域を対象にするようには設計されていません(中央子午線の両側から 10 ~ 12°)。
回転楕円体または楕円体上のデータで、中央子午線から 90°を超えるデータは投影することができません。実際には、回転楕円体または楕円体上の範囲は、中央子午線の両側 10 ~ 12°に限定する必要があります。この範囲を超えると、横メルカトル図法に投影されたデータを、元の投影法の同じ位置に戻すことは不可能になります。球面上のデータの場合には、この制限はありません。
Transverse_Mercator_complex という新規実装が投影エンジンに追加されています。これにより、中央子午線から最大 80°まで、横メルカトル図法との間で正確な投影を行うことができます。より複雑な数学が組み込まれているので、パフォーマンスに影響します。
用途と使用例
- アメリカ合衆国の縮尺 1:100,000 の地形図に使用されています。
- 多くの国では、自国の正式な地理座標系に基づいたローカル UTM ゾーンを使用しています。
- 旧ソビエト連邦の大縮尺地形図の作成に使用されました。
パラメータ
Workstation
ZONE サブコマンドを使用します。ZONE が指定されていない場合、パラメータは次の項目になります。
- Longitude
- Latitude
ゾーンが指定されておらず、緯度が負の場合は、Nalse Northing に 10,000,000 メートルが使用されます。