ArcGIS にはデータの位置揃えに役立つツールが用意されています。ワークフローによっては、あるツールが他のツールよりも適切な場合があります。
データの位置揃えの問題を生じるシナリオ
編集時には、品質レベルが異なるさまざまなソースからデータを収集することが多くなります。その結果、データの位置揃えの問題やトポロジ エラーが発生する可能性があります。次に、その主な原因をまとめます。
- フィーチャを作成したときに、スナップやジオデータベース トポロジなどの空間整合性を保証する編集方法が使用されていない。
- データセットの一部を収集するために、さまざまなデータ編集方法やデータ ソースが使用されている。これは、他のソフトウェア パッケージや契約業者がデータセットを編集および保持しているときに数多く見られるケースです。
- フィーチャが異なる時点で作成または更新されている。多くの場合、新しいデータの方がより正確です。これは、現行の画像または高解像度キャプチャ技法を利用できる可能性が高まるためです。
- フィーチャが異なるマップ縮尺で作成されているため、詳細度と収集の精度がさまざまで異なる。
ArcGIS で利用できるツールのタイプ
ArcGIS の [高度な編集]、[トポロジ]、[アジャスト] ツールバーには、いくつかのジオプロセシング ツールに加えて、データの位置揃えを支援する一連のツールが提供されています。それらのツールを使用して、フィーチャの一部、同時に複数のフィーチャ、またはデータセット全体の位置揃えを、手作業または一括作業および半自動化された方法で行うことができます。次の表は、利用可能なツール、各ツールの機能、それらが最も有効なシナリオ、あるいは効率が悪いケースや制限のあるケースを示しています。
ツール | 機能 | ツールが最も有効なシナリオ | 制限 |
---|---|---|---|
エッジの一致([トポロジ] ツールバー) | [エッジの一致] を使用すると、トポロジを使用してあるエッジを別のエッジに簡単に一致させることができます。 | [エッジの一致] は、ポリゴン間のギャップを修正するとき、およびフィーチャ間で長いエッジを一致させるときに最も適しています。 | [エッジの一致] は、重なったエッジやギャップのあるエッジがあり、網状になったエッジを修正するときにはそれほど有効ではありません。そうしたエッジの修正は、[トレース形状に一致] の方が適しています。 重なりは [エッジの一致] で修正できますが、下にあるエッジが上に描画されたフィーチャによって隠されているため、見つけにくい可能性があります。 |
トレース形状に一致([高度な編集] ツールバー) | [トレース形状に一致] は、あるレイヤー内のフィーチャを、既存のフィーチャに沿ってトレースしているラインに対してアジャストします。 | [トレース形状に一致] が有効なのは、位置揃えで使用されるパラメーターを管理したいときに、複数のレイヤーを更新する場合です。これには揃える形状、どのレイヤーを更新するか、および許容範囲が含まれます。 | [トレース形状に一致] は、揃える形状を手作業でトレースする必要のある対話的ツールであるため、多くのフィーチャを揃える必要がある場合よりも、一部のフィーチャだけをアジャストする場合に適しています。 |
[編集] ジオプロセシング ツールボックスのツールは、スナップ、拡張、切詰めなど、データに対するグローバルな変更を行います。 | これらのツールは、CAD ファイルなどからフィーチャをジオデータベースにインポートした後に使用するのに適しています。トポロジ的に多くの問題があるデータセットをクリーンナップするときにも役立ちます。 | ジオプロセシング ツールは自動で動作するため、位置揃えの結果を微妙にコントロールする必要がある場合には使用できません。 さらに、データがトポロジ的に正常になったら、一括変更の実行には十分な注意が必要です。たとえば、[ジェネラライズ] ジオプロセシング ツールは、それまで一致していたポリゴン間にギャップや重なりを引き起こす場合があります。そのような場合には、トポロジを使用する [トポロジ エッジの単純化] を使用すべきです。[トポロジ エッジの単純化] は、共有エッジを考慮し、一致するすべてのフィーチャを同時にアジャストします。 | |
トポロジ エッジの単純化([トポロジ] ツールバー) | [トポロジ エッジの単純化] は、1 つ以上のトポロジ エッジを共有するフィーチャの形状を単純化します。 | [トポロジ エッジの単純化] の一般的な用途は、頂点数の最小化、トゥルー カーブの削除、特定の詳細度へのデータセットの標準化などです。 [トポロジ エッジの単純化] を使用すると、複数のエッジ、およびそれらのエッジを共有するすべてのフィーチャを一度に更新できます。 | |
ジオデータベース トポロジを使用すると、特定のトポロジ ルールの違反を検出、特定し、標準的な修正を適用してエラーを除去することができます。 | ジオデータベース トポロジでは多くの場合、1 回の編集で、複数の空間整合性エラーを同時に検出し、修正することができます。たとえば、ポリゴン データを位置揃えするときには通常、「ギャップがない」および「重複しない」トポロジ ルールを適用して、ポリゴンが連続した構造を形成するようにします。ポイント、ライン、およびポリゴン レイヤー間の一致を維持することもできます。 ジオデータベース トポロジは、その他の位置揃えツールを補足するためにも役立ちます。ジオデータベース トポロジ ルールを常にデータに適用し、トポロジを定期的に検証して編集によってエラーが生じていないことを確認できます。 | ジオデータベース トポロジには、ArcGIS Desktop Standard または ArcGIS Desktop Advanced のライセンスが必要です。ジオデータベース内のデータにのみ使用でき、シェープファイルには使用できません。 | |
ジオメトリの置換([高度な編集] ツールバー) | [ジオメトリの置換] ツールは、元の属性を維持しながら、スケッチした新しいジオメトリでフィーチャの形状を完全に更新します。 | [ジオメトリの置換] ツールは、フィーチャの形状を大きく変更するよりも、作り直した方が簡単な場合に役立ちます。前の形状または別のフィーチャの形状をトレースすることができます。 | [ジオメトリの置換] ツールは一度に 1 つのフィーチャだけを処理するため、多くのフィーチャを更新する場合には時間がかかることがあります。 |
エッジの形状変更([トポロジ] ツールバー) | [エッジの形状変更] ツールを使用すると、1 つ以上のトポロジ エッジを共有するすべてのフィーチャの形状を変更できます。 | [エッジの形状変更] ツールは、航空写真に合わせて境界を変更する場合など、フィーチャの形状の一部を更新する必要があるときに便利です。 | |
アジャスト方法([アジャスト] ツールバー) | [アジャスト] は、位置揃えするフィーチャとコントロール フィーチャの間にコントロール ポイントを設定するリンクを使用してフィーチャを位置揃えします。 | [アジャスト] は、レイヤー全体をアジャストしたり、広域にわたって多くのフィーチャをアジャストするのに適しています。 | [アジャスト] は、局所的なデータのアジャストには向いていません。そのような場合には、他の位置揃えツールを使用する方が効率的です。 |