時系列データとは、1990 年の香港の土地利用パターンや 2009 年 7 月 1 日のホノルルの総雨量など、ある一時期の状態を表すデータをいいます。時系列データは、気候パターンや他の環境変数の解析、交通状況の監視、人口統計学的傾向の調査などのために収集されます。このデータのソースは、手動で入力されたデータから、観測センサーによって収集されたデータやシミュレーション モデルから生成されたデータまで多岐にわたります。時系列データの例を次に示します。
左上の例は、ArcMap を使用して、1700 年から 1992 年にかけての世界各地の (グリッド セルあたりの) 耕作地割合の変化における 1992 年のタイムスタンプを示しています。時系列的に視覚化すると、一部の地域では時間の経過とともに耕作地の割合が増加します。中央の例は、ArcGlobe を使用して、海面温度の変化における 1997 年 4 月 18 日のタイムスタンプを示しています。データはエルニーニョ現象が発生した 1997 年から 1998 年におよびます。時系列的に視覚化すると、海面温度が毎月変化します。右の図は、ArcMap を使用して、ワイオミング州の生産現場における石油および天然ガス生産量の 1994 年のタイムスタンプを示しています。時系列的に視覚化すると、マップ上の円グラフが採収井ごとの石油および天然ガス生産量の変化を示します (赤は石油と同等の天然ガス、緑は石油量をそれぞれバレル単位で表します)。グラフは、全採収井の天然ガス (赤)、石油 (緑)、水 (青) の採収量の経時変化を示しています。
時系列データの格納
ArcGIS では、時系列データを、フィーチャクラス、モザイク データセット、ラスター カタログなど、さまざまな形式で格納できます。形式の選択は、時系列データの特性と時系列データの可視化手段に基づいて決定されます。
次に、データの格納形式を決定する際に役立つシナリオをいくつか示します。
- フィーチャの移動 - 海洋哺乳類またはその他の個体群の移動パターンを理解するために、ポイント位置を可視化します。
- フィーチャのサイズまたは形状の変化 - 都市別または土地区画境界ごとの人口増加の推移を観察します。
- フィーチャの色の変化 - レイヤー シンボルの色の変化によって、病気による死亡者数の増加を観察します。
- ラスター カタログまたは netCDF データを使用した変化の調査 - 海水温度の変化または天候パターンを観察します。
- グラフの経時変化のプロット - さまざまな観測所でのオゾン レベルまたは水圧の変化を調査します。
時間値の格納
データの時間値は、規則的または不規則な間隔でサンプリングされた特定の時点を表すことができます。これらの時間値は 1 つの属性フィールドに格納され、タイム ラインに沿って特定の時間における時系列データを視覚化するために使用できます。たとえば、流量データは、異なる時点において規則的な間隔で収集されますが、落電や地震のデータは、特定の落電や地震が発生する時間に基づき、不規則な間隔で収集されます。
時間値はまた、特定のイベントが一定期間発生する場合など、継続時間を表すこともできます。このような場合、時間値は、2 つのフィールド - イベントの開始時間を表すフィールドとイベントの終了時間を表すフィールドに格納されます。たとえば、火災範囲を表すポリゴン フィーチャは、その火災が始まった時間と終了した時間に基づく開始時間と終了時間を使用します。
これらの時間値は、データ フィールド、文字列フィールド、または数値フィールドに格納できます。
ArcGIS での時系列データの使用
時系列データは、レイヤーでの時間の有効化後に ArcGIS 上で視覚化することができます。レイヤーで時間を有効にするには、[レイヤー プロパティ] ダイアログ ボックスの [時間] タブでレイヤーの時間プロパティを設定します。時系列データについて時間プロパティを設定したら、タイム スライダーを使用してそのデータを視覚化できます。また、時間対応レイヤーをマップ サービスとして提供することもできます。